第70話

【両想い編14】宣言 修学旅行④
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2021/09/29 07:00
~あなたサイド~


京都、保津川の河原でわたしたちの
目の前に現れたのは、あの童磨どうま猗窩座あかざだった。
あなた
なんであんたたちが
ここにいるのよっ!
童磨
童磨
なんでってそりゃ
あなたちゃんに会いにだよ♡
あなた
えっ…
ゴスッ
童磨
童磨
痛いなー
猗窩座殿、何するのさ
猗窩座
猗窩座
童磨、少しは控えろ

安心しろ、俺たちも修学旅行だ
あなた
あっ…なーる
不死川 実弥
不死川 実弥
ざけんなよォ…冗談でも
あなたに近付くんじゃねぇ
童磨
童磨
おーこわ
いつになく実弥が殺気立っていた。
今にも刺しそうな目つきで睨んでいる。
不死川 実弥
不死川 実弥
あなた、行くぞ
こっち来い
あなた
あ、うんっ…
グイッ…

実弥がわたしの肩を引寄せた。

不意に寄せられた腕が力強くて…。
あなた
ん…/////
実弥ってば、ちょっと痛い
不死川 実弥
不死川 実弥
ああ、すまねぇ
童磨
童磨
へーえ
不死川 実弥
不死川 実弥
あン?まだなんか用かよ
童磨
童磨
今は実弥があなたちゃんと、
つきあってるんだね
あなた
そうだけど…
不死川 実弥
不死川 実弥
…何か文句あっか
童磨がニヤニヤと続ける。
童磨
童磨
一度あることは
二度あるんじゃない?
不死川 実弥
不死川 実弥
は?
童磨
童磨
あなたちゃんはそのうち、
別の人を好きになっちゃうかも
あなた
あんた何言って…
そんなことあるわけ…
不死川 実弥
不死川 実弥
……。
童磨
童磨
だって前は義勇とつきあってたんだよね?じゃあわかんないじゃない
あなた
やめてよっ…
童磨
童磨
他にいい男が現れたらさ
最低!!


実弥は愛しい人を失うことに
トラウマがあるっていうのに…。

傷をえぐるような言い方…。
不死川 実弥
不死川 実弥
そう…かもしれねぇな
あなた
実弥っ…!!!
童磨、許せない。
返り討ちにあってもいい。
ビンタのひとつでもしないと腹がおさまらない。

わたしは覚悟を決めて、童磨に詰め寄ろうとした。


…とその時、
???
???
やめなさいよ、童磨くん
なんてこと言うのっ!!
童磨
童磨
恋雪ちゃん…
猗窩座
猗窩座
やめろ、恋雪
関わるな
恋雪
恋雪
猗窩座くん!
だってひどすぎる!
こんな言い方するなんて…
恋雪
恋雪
ごめんなさいね、童磨君はいつも
人を翻弄するようなひどいことばかり言うの
あなた
あ…いえ…
恋雪と呼ばれた女の子は、
およそ鬼舞辻学園に相応しくないほど、
笑顔がかわいらしく健気だった。
猗窩座
猗窩座
すまなかったな
俺はあんたら似合いだと思うぜ
恋雪
恋雪
わたしもそう思うわ!
猗窩座
猗窩座
行くぞ、恋雪
恋雪
恋雪
うん!

じゃあ失礼しますね
恋雪さんはにっこり笑うと、
猗窩座とそっと手をつないだ。
あなた
あっ…
猗窩座の頬がほんのりと染まるのを、
見逃さなかった。
あなた
お二人もつきあって…
童磨
童磨
はぁぁ、まったく
やんなっちゃうよね
猗窩座
猗窩座
童磨、だまれ
童磨
童磨
先に恋雪ちゃんに目を付けたのは
僕だっていうのにさ
恋雪
恋雪
童磨くんっ…
童磨
童磨
あなたちゃんだって
あの時さぁ…
つながれた実弥の手に、
ぐっ…と力が入った。
不死川 実弥
不死川 実弥
…さっきから黙って聞いてりゃァァ

好き放題言いやがって
童磨
童磨
何?実弥
不死川 実弥
不死川 実弥
あなたが他の男を好きになる?
上等だァ!!
不死川 実弥
不死川 実弥
そんときゃ俺が、
全力で奪い返してやんよ
あなた
実弥っっ
実弥の怒声が河原に響き渡る。
不死川 実弥
不死川 実弥
そもそもなァ!一生、離さねぇ
不死川 実弥
不死川 実弥
死ぬほど大事にするって
覚悟決めてんだよォ!!
不死川 実弥
不死川 実弥
あなたが誰を好きでも
俺はあなた一筋だ

文句あっかァ!?
そう一気に言い切ると、
まわりの視線を一点に浴びている実弥は
恥ずかしくなったのか、顔を手のひらで覆った。
あなた
さ、実弥ってば…/////
…うれしい…ありがと
不死川 実弥
不死川 実弥
おう…/////
猗窩座
猗窩座
…やるなあんた
恋雪
恋雪
素敵ね
粂野 匡近
粂野 匡近
実弥、すげーな
禰豆子
禰豆子
不死川くんがそんなに
愛を叫ぶなんて…!
禰豆子
禰豆子
やだ、かっこいいー!!
ね、あなた!
あなた
うん/////
騒ぎを遠巻きに見ていた観衆からも
パチパチと手をたたいたり、
応援が寄せられた。
不死川 実弥
不死川 実弥
……/////

だァァ!くっそー////
顔を真っ赤にした実弥が、
ザブザブと川に入った。

頭を突っ込んで、川につけている。
あなた
ちょっ…バカッ
水冷たいでしょっ…
不死川 実弥
不死川 実弥
あァ?
冷たかねーや、くそがァ
上着を脱いだ実弥のまわりに、
モミジが、ひらひらと舞い降りている。

すごく絵になってて…。

ちょっと見惚れてしまった。




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