🎶春野 - Cinnaber MV
(ぜひ音楽と一緒にご覧になってください!)
辺りを見回す私に、
チョンチョンと肩をつっつくそら。
「えいちゃんなら海辺にいるよ」
とにやけながら囁く。
心が読まれて恥ずかくなり、鼓動が一気に早くなる。
靴を履いて、
私は民泊から少し離れている海辺に向かう。
風が涼しくて、気持ち良くて、
体がだんだん軽くなっていき、歩くのもだんだん早くなっていった。
気づいたら走っていた。
心が弾む。
海辺につくと、私は靴を脱ぎ、
一歩一歩ゆっくりと歩いていった。
波打ちの音に、砂の音。
耳からドクドクと心拍音が聞こえてくる。
私に気づいたエイジは、待っていたかのように軽く手を振った。
私は彼の隣に座った。
心を落ち着かせるのに必死で、
なかなか言葉が出てこない。
それを見たエイジは口を開いた。
彼は星空を見上げて、
照れ隠しに唇を内側に巻き込んだ。
そんなにわかりやすく照れられたら
期待しちゃうじゃん。
ばーか。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。