見覚えのある匂いに 目が覚める
何となしに、君を探してしまう。
気づいたら、
君は頭をベットに寄りかかって 寝ていた。
確か
病院で検査して
朝まで警察署で取り調べを受けた。
記憶があるのは
りっくんの車に乗ったとこまで。
彼の頭を撫でたくなって そっと手を伸ばす
グっと その手は止まる
忘れかけてた。
今頃 ネット中で大騒ぎしてるだろうに。
携帯なんか確認したら、
持たなくなるかも知らない。
一応、
音を立てない様に
ベットからゆっくりと降りて、
部屋を出る。
(もうこれ以上迷惑をかける訳にはいかない)
そう思うのは
正解なのか。
どこへ?
居場所なんかどこにもないのに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!