第74話

バナナ
3,452
2022/05/11 01:00



あなた「お、おはよ、」








翌日、朝ごはんのため食堂に集まった




後ろから肩を叩かれ誰かと思うと、それは他でもない















孤爪「おはよ。」






音駒のセッターであり、中学の後輩の孤爪研磨だった




黒尾と幼なじみということもあり、またゲーム友達として仲が良かった。










黒尾と別れてからは何となく気まずくてゲームをすることもなかった






一方的に避けていたのは事実だ。









孤爪「久しぶり」






あなた「だね、」








ご飯を手に取り、顔を背けて歩き出した私に着いてくる研磨







多分言われることはわかってる


昨日のデジャブだ











だから今、彼と話すのは正直避けたい











あなた「ちょ、なんで着いてくるの?」








孤爪「なんでダメなの?」







あなた「いや、ダメって言うか……」







孤爪「じゃあいいよね。」







あなた「……」




































孤爪「いただきます。」








まさに昨日のデジャブだ






結局断りきれずに一緒に朝ごはんを食べることに









あなた「え、研磨朝ごはんそれだけ?」






孤爪「うん。お腹減ってない。」








そう言って研磨が口にするのはバナナ1本




スポーツ男児がこれでいいのだろうか











孤爪「てゆうかさ、あなた」







あなた「はい、」











何となく察してグッと構える















孤爪「久しぶりに、今日の夜一緒にゲームしよ。」







あなた「え?」













返ってきた言葉は想像とは違うものだった










あなた「げ、げーむ?」







孤爪「うん。やろうよ」












あなた「え、えっと、いいけど……」









孤爪「わかった。じゃあまた後でね。今日マネージャーよろしくね。」













あなた「え、」










そう言って食べ終わったバナナの皮を片手に席を立って行った研磨を眺めることしか出来なかった私






最後の優しい言葉の意味は多分違う

















今日はの“は”を強調したのは、私が昨日みたく逃げないようにするため







結局、そういうことだ






























あなた「はぁー〜……さすがは音駒の脳ってか?」






誰かがそんなふうに呼んでた。

















花岡あなた












後輩の成長が怖いです。









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