私の頭は追いつかないまま、結局合宿最終日までやってきてしまった
この間、岩泉くんは相変わらず沢山話しかけてきてくれるし、黒尾は会う度にラブコールしてくるし、逆に花巻は落ち着いたし、……
あなた「ダメだこりゃ」
正直言って、岩泉くんは私に『諦めるを認めたくない』と伝えた
つまり、別に私のことを好きだとか、そういうことを言った訳では無い
けど確実に合宿に来る前よりも脈アリでは?とは思ってる
というか確実にそうだと思う。
マナ「じゃあ今好きって言われたらどうすんの? 」
スマホをいじりながらそう言ってくるマナはどうやら松川とLINE中らしい
今は最終日の朝
今日はもう試合もせずに帰るだけ
各自が荷物を片付けている時間だ
それが早く終わった私たち二人はおなじみの自販機の前で話し合い中である。
あなた「今、言われたら……。」
今言われたらどうなんだろうか。
自分でも正直あまりピンと来ない部分がある。
もちろん岩泉くんを好きだと言うのには変わりない
が、それと同時に黒尾、花巻、後今はいないが二口のことがある
その3人と方をつけるまではYESの返事はできないだろう
中途半端な気持ちでは答えたくないから。
マナ「でもだったらさっさと方つけなよ」
あなた「うん、そうだよね。」
これ以上自分自信の気持ちを抑え込む必要が無いとわかった今、これ以上他の人を巻き込んで振り回す訳にはいかない
あなた「帰ったら、ちゃんと伝えてくる」
マナ「うん。そうしな。私はあなたの決めたことならなんでも応援する。でも元彼には帰る前に伝えないとじゃない?」
あなた「うん、だから黒尾は今行ってくる。」
黒尾とちゃんと話せるのは今しかない。
頭でよく考えて、心を決める
あなた「じゃあ、ちょっと行ってくるね」
私は音駒高校の部屋をめざして足を進めた
コンコンコン
黒尾「はーい、……お、あなた」
ノックをして出てきたのは都合のいいことに黒尾だった
あなた「あ、ごめん。黒尾今ちょっと話せる?」
黒尾「……おう。」
何かを悟ったような表情で頷く黒尾
恐らく私がこれから伝えようとしていることがわかったのだろう。
それでも気が付かないふりをして私の話をちゃんと私の口から聞くために話す時間を作ってくれた
2人で廊下の隅の方へと移動をして、向き合う
あなた「えっと、」
黒尾「ちょっと待って。」
私がやっとの思いで決断し、言いかけたところで黒尾に制止される
あなた「えっ、と、なに?」
黒尾「ちゃんと、一旦終わらせるために、俺から言うわ」
あなた「え?」
黒尾「好きだ。あなた。3年前も、今も。ずっとあなたのことが好きで忘れらんなかった。」
答えは決まってる。
それを黒尾とわかってる。
だからこんなにも悲しそうに笑ってるんだ。
そんな黒尾の気持ちを無駄にしないためにも、私も答えなくていけないんだ。
あなた「ごめん。私はやっぱり______」
もう、迷わないって決めた。
あなた「岩泉くんが好きなんだ。」
黒尾「……うん。わかった。ありがとう。」
わかってたけどなあ、なんて笑う黒尾
岩泉くんも私のことを振る時こんなにも苦しい気持ちだったのかな、
辛いな、
でもそんなこと私が言う資格はない
あなた「……じゃあ、またいつかね。」
黒尾「おう。今度からはちゃんとLINEとか返せよ?」
あなた「うん、バイバイ。」
手を振って、私が先にその場を離れる
が、
廊下を曲がろうとしたところで名前を呼ばれた
黒尾「あ、あなた!」
あなた「ん?」
黒尾「最後に一つだけ聞きたいんだけど!」
あなた「なに?」
黒尾「あなたって____________」
花岡あなた
もう迷わない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。