「昔から私は私。」
《港 あおい》という生き物。
私はある理由からよくからかわれていた。
でも、私自身が好かれたくもないやつから
嫌われたりしようと
別に良いと思っていた。
だって私の世界には私しかいなかったから。
でも中学校にあがってすぐに
転校生がきた。
彼は私の思い描く理想の男の子だった。
私は…僕は………女の子の格好が好きだ。
可愛い物にお洋服、
それたちは僕の一番好きな物…。
思わず口に出ていた。
初めて男の子をかっこいいと思った。
私は女の子の好きな物が好きなだけで
別に男の子が好きなわけではなかった。
でも彼だけは…
てか、こんなかっこいい男の子を
誰が好きにならずにいられるだろうか…。
彼の言葉はとてもかっこ良かったけど
転校初日にクラスのリーダー的な男子に
喧嘩を売ってしまったために、
それからの中学校生活は
楽しいことはなかったのだと思う。
━━中学3年の冬
可愛いって不意に言われたもんだから
照れ隠しについに変なことを言ってしまった。
すぐに訂正しようと思ったけど…
君が僕の言った素直に考えて
受け入れてくれたことが嬉しくて
訂正するのを忘れてしまった。
あれからゆうくんは高校でも
Sキャラを貫いている。
まだしばらく、君と笑っていたいから。
よろしくね、僕の相棒。
僕たちが最高のコンビでいられるように。
━━━━高校三年生
これが君と僕の最後の物語だから。
最後ぐらい最高の幸せを味わっても
バチはあたらないよね。
ずっとずっと。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。