第5話

恋の終わりは愛の始まり~story3~
908
2019/10/14 10:43
カンタside
午後12時、俺はいつも通り動画を撮るための企画を考えていた
トミーの部屋から聞こえてくる楽しそうな声…イライラしてどうしようもなくなる…ひなちゃんが笑うたび、何を話しているのだろうと気になってしまう…そんなソワソワしてる俺に対してもイライラしてくる…
カンタ
カンタ
なんで、俺がこんな思いしなくちゃなんねーんだよ…
一人で文句を吐き捨てる…感情が込み上げてきて、目頭が熱い…こんな思いは初めてだ…どうすればいいかもわからない…俺はどうしちゃったのだろう…
カンタ
カンタ
疲れた…眠い…少しだけ寝ようかな…
アラームをセットし、込み上げる思いに気づかぬフリをして、俺は少し夢の中へ逃げ込むことにした
トミー
トミー
俺、ひなと結婚するからYouTube辞めることにした…ごめんね
ひな
ひな
カンタさん、ごめんなさい…きっと幸せな家庭を築きますから…
トミー
トミー
カンタの事は応援してるから…じゃあね
カンタ
カンタ
待ってよ…俺まだ辞めたくないよ…トミー待って!お前がいなきゃ俺っ……!
ひなちゃんと手を繋ぎ、俺に背を向けて歩き出すトミーに手を伸ばすが届かなくて…
どんどん遠ざかって暗闇に消えようとするトミーに懸命に追いつこうとしていると何処かで声が聞こえた…
トミー
トミー
…た…んた……カンタ!
カンタ
カンタ
え!なに?!
目を開けるとそこには俺の顔を覗き込むトミーがいた
その瞬間に俺は夢を見ていたのだと思い知らされ、心の中でホッとしている自分がいた
トミー
トミー
カンタどうした?泣いてんぞお前
そう言われ、自分の目から涙が出ている事に気づき、言い訳と共に懸命に涙を拭おうとする
カンタ
カンタ
いやっ、これはちょっと嫌な夢を見たからっ!
トミー
トミー
え、大丈夫?夢は言わないと正夢になるから俺に言っていいよ
トミーになんて言えるはずがない…こんな恥ずかしい夢…"正夢になる"なんて迷信ってわかっているのに…それが本当に現実になりそうで怖い
カンタ
カンタ
あ、そういえば…ひなちゃんは?
さりげなく、話題をそらして俺の夢の話を忘れさせようと試みた
トミー
トミー
ひなはもう帰ったよ、そしたら、お前がうなされてるから…
その一言だけで心配してくれてると思って嬉しくなった…
トミーの発言で一喜一憂してる俺は本当に単純だと思う
トミー
トミー
で、話してくんないの?
優しく微笑みながら話を戻そうとするトミーがかっこいいと思ってしまって、見惚れてしまった
トミー
トミー
そんな見んなよ笑子犬かよ可愛いやつだな笑
不意打ちすぎる言葉、俺の頭が停止した…
自分の顔がどんどん熱を帯びている…自分でもわかる今、顔が真っ赤だと…それを見兼ねたトミーは…
トミー
トミー
え、カンタ、顔赤いけど…耳まで真っ赤…
この場にいられないほどの恥ずかしさ、今すぐ立ち去りたいと思った
カンタ
カンタ
ごめん!俺、外走ってくるから!
トミー
トミー
え、ちょっ…
そう言い、トミーの言葉は無視するように立ち上がり、すぐジャージに着替えて、何も考えないよう両耳にイヤホンをつけ、すぐに家を出た
カンタ
カンタ
やばいやばいやばい…!!
思い出せば思い出すほど、恥ずかしくなりトミーに変に思われてないかを考えるが思い出すのは"可愛いやつ"の一言…
カンタ
カンタ
どうしよう……
気づいてしまった…俺がトミーに抱く感情が友情ではないということを…

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