カンタside
今日はハウスの住人がみんな出掛けて行き、俺は久しぶりに家に一人になった…俺が夕食を食べようとし、リビングへ行くと机の上にトミーが出掛ける前に着ていたTシャツがあった…
Tシャツを片付けようとして手に取り、ジーッと見つめていると俺の頭の中の悪魔が囁く…俺は誘惑に負け、そっとTシャツを顔に近づけて、そのまま匂いを嗅いだ
Tシャツの匂いを嗅いだ俺はいつもと違う状況にムラムラとしてきた…そして、急いでTシャツを手に夕飯のことを忘れ去り、自分の部屋に駆け込んだ
ベッドに横になり、トミーのTシャツを頭の上から被り、興奮で膨らんできている俺自身を下着の上からそっと触ってみる
触った瞬間、体に快感が走った…そして、もっともっとと言っているように俺自身が期待でいっぱいいっぱいになっている…下着を脱ぎ、ゆっくりとそれを扱き始める
こんな行為俺はあまりしないのに…ぐちゃぐちゃといやらしい音が部屋に響く…抗えない快感とトミーのTシャツの匂いを嗅ぐ背徳感によって、より一層俺の興奮は高まっていき…
ギシッと軋むベッドのシーツに先端のイイところを擦りつけ快感を得る…虚しい自慰行為、叶わないのに諦めきれない恋心…俺の目からは涙が流れていた…でも、俺の中のトミーは俺を愛してくれると独りよがりに扱き続ける…
俺自身を握っている手の力を強くし、扱くスピードを早くし、ぐちゃぐちゃと絶頂を迎えようとしたその瞬間…
俺の部屋の扉が開けられた…そこには家にいるはずのないトミーがいた…その瞬間、俺の体の血の気が引き…目からは大量の涙が流れ…あぁ…聞かれていたのかな聞かれていたならもう終わったと思った…
重い声が俺にのしかかる…
トミーは俺に近づいてきて、真っ直ぐな瞳で問いかけてくる
顔が火照って、穴に入りたい気分になった…下半身は裸で俺自身はまだ膨らんでいる…こんな姿でその質問に答えろというトミーは本当に酷だ…拒絶される恐怖心で体が震える…
こんな俺に酷な質問をしてくるくせに俺の頬に手を添えて、優しい声で名前を呼んでくる
俺は震える声で懸命に言葉を口に出していく…
恥ずかしさともう隣にはいられないという気持ちから目から涙が止まらない……もう最悪だ…と思った瞬間…トミーが俺を力強く抱きしめた…
どこかで聞いたことのある言葉に自分の記憶を思い返す…
トミーは言葉を続ける…
言葉を遮られた瞬間にトミーと唇が重なった…
あ、思い出した…そうか…俺はトミーを好きでいいんだ……そして、トミーも…
考え終わる前に唇と唇が離れる…そして、トミーの綺麗な瞳と目が合って…
遠回りしすぎた、俺達の恋は終わりを告げたそして、新しい愛が生まれ、俺達は今までの時を埋め合わすように唇を重ね合い…お互いを離さぬよう強く強く抱きしめ続けた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。