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若頭の表と裏
🥀
本当になんとも無さそうでよかったわ。2日間あなたちゃん達と蓮のそばにいたけど、ピクリとも動かなかったもの。
あぁ。純喜くんも練習の合間を縫って来てくれたんだぞ。
いやいや!大したことじゃないっす!ね!あなた!
あぁ。……あ、蓮。ここゴミついてる。
え?どこ?
…………………………
………ありがと。
ん。それより、起き上がったけど腰は痛くないのか?
やめてよ、関節ギシギシのおじいちゃんじゃないんだから。
そうか、ごめん(笑)
とにかく、蓮が起きてよかった。色々話したいことあると思うから、私たちは出てます。ゆっくりしててください。
私は純喜と羽純の袖を引っ張って、半ば強引に部屋を退出した。
え?蓮と話さんの?
私よりもまずは親と話した方が安心できるだろ。私はいつでも来れるし。落ち着いてからでいいの。
そう?
……いい人達だよな。蓮の親。
やろ!蓮に似てて明るいし面白いで!
そっか。
蓮のママは料理上手で、一人っ子の蓮が大好きーって感じダダ漏れよな。蓮のパパは蓮にダンス勧めた張本人で、よくボケたりして2人困らせてるらしい。よく3人で旅行とかも行ってて…………ぁ…
急に口を塞いで黙り込む。大体、予想はつく。
いいよ。気にしないで。
………ごめん。
気にすんなって(笑)
純喜が、私の親がもういないことは、この前の拓実との戦闘で耳にしている。そんな私の前で親の話をするのは、常識的にもいけないと思ったんだろう。
私には美化された思い出しか残ってないから。悲しかった記憶はもうない、乗り越えたんだ。だから平気。
あなた……
………
……けど昨日、蓮のお母さんに、蓮と同じくらい私のことも心配してるって言ってくれて、すごい嬉しかった。私にはお母さんの記憶は無いから、母親の無償の愛ってこんなんなんだって思った。羨ましいとは思ったけど、また寂しくなったとかそういうのは無い。だから遠慮とかいらないよ。ありがと。
暫くの沈黙が訪れる。
…………あ。
何。
……蓮に言うてないよな。
何を?
蓮が怪我した嘘の理由。蓮ママとパパには違うこと言うてるから話噛み合わんくない?
あぁ。それなら大丈夫、蓮に言ったから。
言った!?いつ!?
ほら、肩にゴミついてるって言った時ですよ。
………あぁ!あの時!え、あの時!?
蓮は頭いいから絶対すぐ飲み込んでくれるだろうと思って、めちゃくちゃ要約して話した。
なんて言うたん?
蓮は私を庇って暴漢に襲われた。
…………え、それだけ?
うん。
蓮よぉわかったな…俺なら絶対わからん……
純喜は絶対わかんないだろうな。
右に同じく。
ひどぉ!
自分でわかんないって今言ったじゃん(笑)
言うたけど!2人ともそんな真顔で言うことないやん!
ちょっと声のボリューム落とせ。うるさい。
さーせん。
廊下に3人で出てから、約10分ほど雑談したあと。蓮の両親が部屋から出てきた。
待たせちゃってごめんね〜!
いえ。蓮の調子はどうですか?
絶好調よ!お父さんと漫才かってぐらいの会話してたし(笑)
蓮らしい(笑)
蓮が君たちと話したいそうだ。
え?まだ話しててもいいのに……
ちょうどお昼の時間だし、外で何か食べてからまた戻ってくるわ。それまでゆっくり蓮と話してて。
いいんですか?
積もる話もあるでしょうしね。遠慮しないで。
………ありがとうございます。
2人は仲良く部屋を後にし、私たちは蓮の部屋に足を踏み入れた。