第154話

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2024/08/04 11:26
蓮
ごめん、待たせちゃって。
純喜
純喜
大丈夫!身体どう?
蓮
動くようになってきたし、左半身が痛い(笑)
羽純
羽純
傷が思ったより深かったんでしょうね。しんどければすぐに言ってください。
蓮
ありがとうございます。
純喜
純喜
あなたー、入口で突っ立ってんとはよこっち来ぃや!
You
You
あ、うん……





どうしよう。何話そう。



さっきも普通に会話してたけど、いざちゃんと話せるってなったら何話したらいいかわかんない。




You
You
……………
蓮
………あなた。
You
You
…………
蓮
…ありがとね、ずっと俺のそばに居てくれて。
You
You
……知ってたのか?
蓮
ううん、さっき父さんと母さんから聞いた。毎日朝早くから夜遅くまでいてくれたって。
You
You
それは……まぁ……
蓮
それに、何となくあなたがいるんじゃないかなって思ってたんだよ。
You
You
え?
蓮
寝てる時さ、ずっと右手だけあったかかったんだ。
You
You
なっ……!
蓮
多分だけど、もしかしてあなた、ずっと俺の________
You
You
知るか!気のせいだろ!寝てんだし!
蓮
…………そっか。とにかくありがとね。
You
You
ん…………それで、話の帳尻は合わせたんだろうな。
蓮
うん。母さんがペラペラ話すから相槌打ってただけだけど、なんとなくわかった。普通暴漢に襲われて局所的な怪我だけで済むはずないけどね(笑)
You
You
それは仕方ないだろ。それしか言い訳がなかったんだ。ヤクザに拳銃で打たれましたとか、警察沙汰になっちゃうし。
蓮
…………そういえば、川西は?どうしたの?
You
You
自分で警察署に行った。ちゃんとメッセージも届いてたよ。ご丁寧に画像付きで。
蓮
そっか……じゃあほんとに終わったんだね。
You
You
おかげさまで。これからの事はまた考えるよ。とにかく蓮が無事で良かった。元気そうだし。
蓮
俺はいつだって元気だからね!





その後10分ぐらい、4人で適当な話をした時、純喜のお腹が鳴った。


あまりの音のデカさに3人とも大笑いしたが、大事なことを忘れていたのだった。




純喜
純喜
やばー、昼ごはん食べてないの忘れてた…
蓮
そういえば俺もちょっと小腹空いたかも。
You
You
あ、持ってきた差し入れ食べるか?
蓮
食べる!純喜は?どれ食べる?
純喜
純喜
あー、俺コンビニでなんか買ってくる。
You
You
え?いーじゃん、食べなよ。
純喜
純喜
それは蓮のやし。羽純さん、ついでにあなたの分と羽純さんの分も買いに行きません?
羽純
羽純
え?……あぁ、そうですね。行きます。
You
You
え?私の分はいいよ。
羽純
羽純
あなたはもう少し体に栄養があるものを取らないとダメです。ここの所ちゃんと食べてないし。
You
You
だからここにあるやつを……
羽純
羽純
それは蓮くんのです。河野くんも言ってたでしょう。
You
You
(こいつら何だ急に……)
羽純
羽純
何か買ってきますね。
純喜
純喜
ごゆっくりー!





出ていく瞬間、純喜が一瞬ウインクをしたように見えたが、一体何に対してのウインクだ?




You
You
なんだよ急に2人して…
蓮
……ねぇ、俺なんか食べたい。何がある?
You
You
あ、えーっと……カットパインとリンゴとゼリー、レトルトのカレーとご飯、パン。なんでもある。
蓮
どういうラインナップ(笑)
You
You
だって、目が覚めたあとって何食べるかとかわかんないし……
蓮
確かに(笑)俺も食べていいのかわかんないけど、お腹すいたしいいよね。
You
You
いいんじゃない?傷があるのは足と手だし、身体に異常があるわけじゃないし。
蓮
んー、リンゴは丸々?
You
You
ううん、これもカットされてるやつ。買ってきた。
蓮
じゃあそれ食べたい。
You
You
ん。





カップの蓋を取り外して、付属していた爪楊枝を刺して蓮に手渡した。



甘くて爽やかないい香りが広がる。




蓮
ありがと。あなたも食べる?
You
You
いいよ、なんか買ってきてくれるらしいし。
蓮
じゃあ1粒だけあげる。はい、あーん。
You
You
ちょ、自分で食べれるから!先食べろよ!
蓮
いーじゃん、ほら!あーんして!
You
You
…………チッ
蓮
すーぐ舌打ちするんだから!





渋々リンゴを口に入れる。









You
You
………美味しい。





そういえば、私この数日間のご飯の味覚えてない。




蓮
じゃあ俺も!いただきまーす!





一気に2個を頬張って、幸せそうな顔をする。




蓮
ん〜〜まぁ!めっちゃうまい!甘い!





次から次にリンゴを口に放り込んでいく。









































あぁ、こんな普通の、何の変哲もない光景が、幸せだと思えるなんて。

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