第26話
第22話
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あなたの綺麗でよく伸びる声が
スタジオ中に響く
まだちぇぷりに入ったばかりなのに
あなたは凄いよなぁ…
天性のものでもあるけど、努力もしてて、
なんて事を考えているとあなたが
ターンをしてこちらへ向かってくる
それを俺が、止めるようにあなたの腕をとって
そっと抱きしめる
えぃの長い髪の毛がふわりと揺れて
シャンプーの香りがする
すると、腕の中のあなたの全身の力が
ふっと抜けるのを感じた
その途端、あなたの全体重が俺にかかる
思わず膝をついてしまう
あなたは俺の膝の上で苦しそうに
息をしていた
見ていたるぅとくんが駆け寄る
動揺した俺は声を震わせながら
るぅとくんにそう言った
言われた通りに体を持ち上げる
俺が体を持ち上げて出来た空間に
るぅとくんは腕を入れてあなたを
抱き上げた
ぐったりした様子のあなたは
抱き上げられた事で
るぅとくんの胸に頭をコテっと当ててる
なんだか、その2人に胸がざわついた
動揺していたはずなのに、
何故だかそんな言葉が口から出た
前を歩きながらるぅとくんがそう言った
確かに……
あなたは163cmって言ってたよな
俺と2cmしか変わらない、
一方、るぅとくんは172cm
9cm差もある
俺では出来ない事がどうも悔しかった
それから、俺達はあなたを連れて
病院へ
あなたの脈は安定したみたいで、
まだ意識はないけど少し安心した
るぅとくんと俺が頭を下げると
医者は部屋を出ていった
あぁ、また2人だけになっちゃう
なんて事が脳裏をよぎる
少し心にモヤモヤを残したまま
俺は病室を後にした
病院を出ようとし、マネージャーに
電話をかけようとした時
ズボンのポケットに入れていたはずの
携帯が無いことに気づく
どうやら、あなたの病室に
置き忘れてしまったようだ
大慌てで病室に向かう
ドアを開けようとした時、
あなたはちょうど目を覚ましたようだった
弱々しい声であなたはそう言う
そんな事ないよ、
今は自分の心配しててよ、
そんな思いが頭の中でパンパンになる
こんな盗み聞きしてるんじゃなくて、
ドアを開ければいいのに
何故だか手に力が入らなかった
ふふっ、と微笑むあなたの声が聞こえた
その直後、ガシャン!と椅子が倒れる音が聞こえる
るぅとくんの鼻をすする様な声が聞こえる
あぁ、きっと今、
るぅとくんはあなたを抱き締めているんだろうな
ダンスのフリでもない、
るぅとくんの意思で抱き締めているんだ
そのまま、病院飛び出した
あれ、あれ…あれ………あれ、
俺が、今まで俺があなたにとっての…