第58話
番外編2
───────────────────────
今までずっと新人候補を断ってきた俺が
あなたの妹という事もあってか
気になってとりあえず会ってみる事にした
場所は、あなたと初めて会ったあのカフェ
あの人同じ窓際の席で俺は座って待っていた
そこにやって来たのはあなたの妹
みりぃだった
書類に書いてあった歌い手名を言うと
にこやかに美里は笑った
なんだかあまり、あなたと似てないな
姉妹でも似てないとこは似てないのか…
突然美里は真顔になった
あなたの、妹なんだよな
幼い頃に両親を亡くして
あなたという唯一の家族と一緒に
色々ありながらも生きてきた、妹なんだ
美里は席を立って頭を下げた
そんな美里を見て俺は情けない気持ちで
いっぱいになった
あなたがいなくなってふてくされて
もう誰ともコンビ組まないって決めて
だけど、俺よりも若いこの子はどうだろう
自分の事よりも、姉を考えて此処に来てくれて
俺はずっと頭を下げてるみりぃに言うと
美里はゆっくりと頭を上げてくれた
顔を輝かせた美里は満面の笑みを浮かべた
その笑顔はあなたにそっくりだった
───────────────────────
出会った頃を思い出して思わず笑っていたのか
美里が顔を覗き込んで首を傾げてる
俺は首を横に振った
たまにこの子は俺の思ってる事を
ピタリと当ててくる
何で分かるんだろうな…
あはは、と髪の毛を触って美里は笑う
俺は君とコンビ組んで、一緒にいたら気付いたんだ
似てると思うよ