第53話
第45話
私を抱きしめていたのは…
名前を呼ぶと、るぅとくんは私から手を離した
るぅとくんはそう言うと真剣な眼差しで私を見た
思わず私もうん、と答えてしまう
るぅとくんが発する一言一言には
その人への確かな愛が感じられた
そんなに、好きな人がいるんだね…
るぅとくんには幸せになって欲しいよ
私は沢山、るぅとくんに幸せにして貰ったから
でもね、
さっきフラれたも同然な事言われて
それでるぅとくんを応援できる程
私はいい人じゃない
時間が必要なの
るぅとくんに背を向けるとまた腕を掴まれる
キュッと目を瞑った
一瞬、時間が止まったように世界の音が
消えて、るぅとくんの声だけが鮮明に聞こえた
少しだけ頬を赤くしたるぅとくんは私の
前まで来て私の手を握った
色々な感情が混ざって私の頬に涙がつたう
私は満面の笑みを浮かべた
そして、私はるぅとくんの手を握り返した
ありったけの想いを込めて
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数日後
私とるぅとくんは正式にお付き合いを始めた
という訳で、付き合って初めてのデート
場所は
10年前の、歌い手をしている自分へ
恋なんて知らないと思うけど
いつか気付いた日から世界は変わると思う
色んなものが大切なものだと分かるよ
そして、その時間を大切にしてね
7年前の、離れると決めた自分へ
辛くて苦しくて堪らないと思うけど
いつか、その先にまた会えるから
大丈夫
今は1人で不安で怖いと思うけど
実は自分の周りには色んな人がいてくれて
いつも支えて応援してくれてるよ
だから、乗り越えて
今の私は、幸せだから安心してね
随分先まで歩いていたるぅとくんの元へ走る
End…