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第80話

番外編<なーくん>
俺は人に恵まれている方だと思う
良い人に囲まれて生きている

すとぷりやちぇぷりの、
最強の仲間がいて


そして




昔から変わらず隣にいてくれる
大切な人がいる
ななもり
ななもり
おーい、朱蘭?
俺は、第2の自分の家とも言える
カフェ“Hide Away”のドアを開ける

カランカランとドアの小さなベルが鳴った
ななもり
ななもり
朱蘭ー?
名前を呼ぶも、誰もいないようだ
ななもり
ななもり
戸締りくらいしとけって…
こういう管理が実はしっかりしてない
朱蘭に呆れるように笑った

俺は“いつも”のカウンター席に座る

鞄からスマホを取り出そうとすると
スマホが落ちてしまった
ななもり
ななもり
あ!まずい!
拾おうとしゃがむとテーブルの裏に
ある“もの”を見つけた
ななもり
ななもり
あ…これって
俺はふっと笑みを浮かべて
まだ幼い頃の事を思い出した
───────────────────────
それはまだ俺たちが小学生低学年のこと
朱蘭
朱蘭
なーくん一緒に帰ろ
2月の寒い時期だった

マフラーをした朱蘭が俺に声を掛け
俺は帰り支度をして黒のランドセルを背負う


昇降口を出ると冷たい風が吹いている
ななもり
ななもり
うん、帰ろ帰ろ
朱蘭
朱蘭
さっむ…
きゅっと目をつむった朱蘭の
整った高い鼻が真っ赤になっている
ななもり
ななもり
ここ最近は寒いから手袋も持ってきたほうがいいよ
俺は手袋を外してから朱蘭の手を取り
その小さな手に手袋を付ける
朱蘭
朱蘭
ダメだよ、なーくん寒いでしょ?
優しい朱蘭はいつも俺の事を気にかけてくれる

気持ちだけ受け取っとくね、と
手袋を外そうとしている
ななもり
ななもり
あ、待って
ピカン、と電球が光を灯すように
頭の中である事がひらめいた

俺は手袋の片方だけを朱蘭から取って付けた
ななもり
ななもり
こうしたらあったかいのもはんぶんこでしょ?
朱蘭
朱蘭
…ふふ、そうだね
控えめに笑った朱蘭は何だか嬉しそうだった





そのままいつもの通り自分の部屋に荷物を置いて
すぐに朱蘭の家──兼、カフェに向かった
朱蘭のお父さん
お、ななもりくんいらっしゃい
カウンターに座る朱蘭の前には
紅茶を入れている朱蘭のお父さんがいた

朱蘭の穏やかなところはおじさん似だな、
とここに来るといつも思う
ななもり
ななもり
おじさんこんにちは!
小走りに朱蘭の隣の席に向かう

まだ幼いからか、カウンターの高い席に
座るのは一苦労だ


それでも俺と朱蘭はカウンター席が好きだった

カウンター席に座ると何だか大人になった
気分になるから、という単純な理由だけど…
朱蘭のお父さん
そういえば、あと2日でバレンタインだね
ななもり
ななもり
バレン、タイン?
何だそれ、と首を傾げた
朱蘭のお父さん
女の子が、好きな男の子にチョコとかお菓子を渡す日なんだよ
今は友チョコとか、義理チョコもあるらしいけどね
ななもり
ななもり
そっかあ…だからお母さんは毎年その日になると、僕やお父さんにお菓子を渡してくるのか
別に深い意味はないのかと思っていたが
おじさんの話した事で納得した
ななもり
ななもり
朱蘭は誰かに渡すの?
俺は視線を朱蘭に向ける

どうせなら俺に作ってくれないかな、なんて
考えが頭の中で浮かんでくる
朱蘭
朱蘭
さあ…どうだろう
今思うと小学生のくせに朱蘭は大人で、
何かをかわしたりだとか、何かを隠したりだとか

そういうのこの頃から上手かったよな
ななもり
ななもり
ふーん、そっか
まぁ、お菓子作り頑張ってね!
こんな事言わなくても、カフェの娘だから
料理は既に上手なんだけど…
朱蘭
朱蘭
うん、ありがとうね
朱蘭は目をくしゃっと小さくさせて笑った





いよいよバレンタインになったが、
特に何もなく下校時間になってしまった
ななもり
ななもり
ごめんね朱蘭待たせちゃって
俺はクラスの男子に誘われて
放課後サッカーの試合をしていた

その間朱蘭は図書室で本を読んで待ってくれていた

カフェに置いてある本も難しいものばかりだから
朱蘭は字がいっぱいで見るだけで嫌になる
本をいつも読んでいた
ななもり
ななもり
よく読めるねそんなの
うえっ、と顔をしかめると
少し呆れたように朱蘭が笑った
朱蘭
朱蘭
そう?意外と面白いのに…
朱蘭が何かに視線を向けた途端
固まってしまっている


何だろう?

そう思って俺もそれに目を向けると──
ななもり
ななもり
…あれ?どしたの皆こんなとこで
そこには同じクラスの女子や
他クラスの女子が沢山いた
クラスメイト
な、ななもりくん…
同じクラスの女子が集団から一歩俺に近付いた
朱蘭
朱蘭
あー…私昇降口いるから
何だか気まづそうに、朱蘭がその場から
走り出して行った
ななもり
ななもり
え、待ってよ朱…
クラスメイト
ななもりくん、これ受け取って!
それを追いかけようとした俺を
クラスの女子が遮るように何かを差し出してきた
ななもり
ななもり
これ、もしかして
…チョコ?
クラスメイト
う、うちも!
クラスメイト
わたしも!
クラスメイト
あたしのもお願い!
思わずぽかんと立ち尽くした
ななもり
ななもり
皆、気持ちは嬉しい、けど
俺は勇気を振り絞って声にする
ななもり
ななもり
俺、皆の受け取れない
でも嬉しかった!ありがとう!
俺は全速力で、階段を降りた
ななもり
ななもり
(朱蘭、朱蘭…)
昇降口に来てみるも、朱蘭の姿はない
ななもり
ななもり
やっぱり…
ということは、



俺はある場所へ精一杯走った

1秒でも早く、


朱蘭の元へ行けるようにと












































俺はカフェのドアを開けた





カウンター席にはやっぱり朱蘭がいて
小さな手で鉛筆を握りドリルを解いてる

ドアを開けた時のベルにも気付いていない
ななもり
ななもり
朱蘭
声を掛けてもこちらを振り向かない
ななもり
ななもり
…朱蘭
俺は朱蘭の肩をポンと叩いた

ビクッと体を震わせてから
まるで何かを隠すようにこちらを振り返った
朱蘭
朱蘭
なー、くん
朱蘭
朱蘭
や、いやぁごめんね
まさかあんなになーくんモテてるって思わなくてね
えへへ、と笑ってから朱蘭は長い
髪の毛先をいじり始めた
気付いてれば私あの場に居なかったのに、と
言ってから
朱蘭
朱蘭
それに、知ってれば作らなかったよ
ボソリと小さな声で言ったのを
俺は聞き漏らさなかった
ななもり
ななもり
チョコ作ってくれたの?
またビクッと体を震わせてから
ゆっくり俺を見た
朱蘭
朱蘭
…うん、そうなの
それからため息を吐くように
朱蘭
朱蘭
ごめん
と言った
ななもり
ななもり
どうして、謝るの?
朱蘭
朱蘭
え?だってなーくん、あんなにチョコ貰ったのに
ななもり
ななもり
俺受け取ってないよ
朱蘭
朱蘭
え!?
朱蘭が珍しく大きな声を出す
ななもり
ななもり
俺、朱蘭の以外受け取らないって決めてたから!
朱蘭
朱蘭
そ、そうなの…?
上目遣いに俺を見る朱蘭が
何だか可愛くて思わず笑った
ななもり
ななもり
…うん
朱蘭
朱蘭
よ、よかった
ななもり
ななもり
何がよかったの?
朱蘭は恥ずかしそうにはにかんで言った
朱蘭
朱蘭
なーくん、誰かに取られちゃうかと思って…あ、取られるとか、おもちゃじゃないのにね
そんな事を言う朱蘭を見て
ななもり
ななもり
あ!そうだ!印つけようよ!
そんな事を言った
朱蘭
朱蘭
印、ってなんの?
不思議そうに俺を見る朱蘭を
椅子から立たせる
ななもり
ななもり
俺たちずっと一緒っていう印!
朱蘭
朱蘭
なるほど…
でも何処にしようか、と俺が言うと
朱蘭は、あ!と声を出した
朱蘭
朱蘭
カウンターテーブルの裏側は?
ななもり
ななもり
おじさんに怒られちゃうよ?
朱蘭
朱蘭
大丈夫よきっと!
そう言った朱蘭はマッキーペンを持った
朱蘭
朱蘭
なーくん、書いてくれる?
そう言うとそのマッキーペンを俺に向けた
ななもり
ななもり
…うん!
朱蘭からペンを受け取り
カウンターテーブルの下に入って屈む

俺の隣には朱蘭がいて、俺を見ている



そうして俺が、俺たちが座るいつもの
席の場所に印をつけた
ななもり
ななもり
よし、書けた!
朱蘭が机から出るのを見て
俺も続こうとすると…
ななもり
ななもり
いった!!!!
思い切り頭をぶつけてしまった
朱蘭
朱蘭
もう、何やってんのなーくん
くすくす、と笑い始める朱蘭を見て
俺まで笑みが溢れてきた


───────────────────────
ななもり
ななもり
なっつかしーな…
朱蘭
朱蘭
なーくん何ブツブツと独り言言ってるの?怖いなぁ
いつの間にか後ろには朱蘭がいた

どうやら買い出しに行っていたみたいで
大きな袋を両手に持っている

俺は朱蘭の持っている袋を1つ持つ
朱蘭
朱蘭
あ、そっち重い方よ
持つなら軽い方持って、と言う
朱蘭に俺は呆れて笑った
ななもり
ななもり
女の子には重いものなんて持たせないの!
朱蘭
朱蘭
え、あぁそうなのね…
恥ずかしそうに口を開いた
朱蘭を見て、昔から変わってないなと思った
朱蘭
朱蘭
で、さっき何を言ってたの?
ななもり
ななもり
え?ううん、なんでもない
いつか、もっと先にあの印の事
話してみようかな

覚えてるのだろうか











誰しも未来というものは、体がうずうずする様な
希望や期待や楽しみで溢れている




ななもり
ななもり
ま、あの印…まだ続いてるよな
朱蘭
朱蘭
何よ?何のこと?
ななもり
ななもり
だーかーらー何にもない!


あの印、


“ずっと隣にいれますように”































































いつまでも続けばいいな


<なーくん編 END>