第68話
番外編10
スタッフの女性が後ろに下がると同時に
美里が前に出てきた
会場の電気は薄暗くなっていて
美里の立つマイクスタンドのある場所と
るぅとくんとあなたの座っているメインテーブルに
スポットライトが当たっている
流石に美里も緊張しているみたいで
手紙を持っている手が微かに震えている
そんな時
ジェルくんが腹の底から声を出した
一気に会場が笑いに包まれる
ジェルくんの、こういうさり気なく
気を遣えるとこ本当に凄いよなぁ
美里もジェルくんに親指を立てて
グッドマークを見せた
そうしてマイクに近付いて口を開いた
るぅとくんとあなたは美里に
ありがとうございます、と言って頭を下げた
すると、美里は先程よりも少し手紙を強く握った
緩んだ涙腺を必死に止めようと
眉に皺を寄せた美里は続ける
声が震えたと思って美里を見ると
涙をポロポロと零していた
頑張れ、頑張れ、美里
あなたに、伝えたい事伝えるんだろ?
一呼吸置いた美里は口を開いた
美里はあなたに体を向けた
最後はニカッと太陽のように明るい笑顔を浮かべた
俺はスピーチで思いを伝えられた美里に
今まで頑張ってきたあなたに拍手をした
おめでたい日だというのに、あなたは
ボロボロ涙を流していた
最後には姉妹で抱き合っていた
席に戻ってきた少し目を赤くさせている
美里に笑みを向けた
それに美里もニッコリと笑みを返した
そうして幸せに溢れた結婚式は幕を閉じた