第3話

#3 夢は夢で終わる
13
2021/08/09 11:22
次に目が覚めた時は病院に居た。

おそらく、病院だ。

体中が痛くて顔は動かせないが、後ろでピ、ピ、と機械の規則正しく鳴る音がする。
あと、微かに救急車の音もする。
僕は今、恐らく仰向けでベットにいるのだろう。

ここまで現状を理解できた耳に僕は初めて感謝した。


声は……出ない。
目は……少し開ける事ができた。

金森 結斗
金森 結斗
霜真!
野々山 加奈
野々山 加奈
先生!霜真が目を覚ましました!!
結斗と加奈か。
二人とも焦りすぎだって。
佐藤先生
佐藤先生
……。
金森 結斗
金森 結斗
先生…霜真の具合は…?
佐藤先生
佐藤先生
今の状況では何も…。
もう少し回復して貰わないと…。
野々山 加奈
野々山 加奈
そう…ですか…。









あれから1週間が過ぎ、
会話ができる程度までは回復した。

それで分かった。
ここは一般病棟ではなく重症患者用の部屋で僕は2週間程昏睡状態だったらしい。
それで2人はあんなに心配を…。
でも僕はあの時なんで外にいたんだ?
あ。そっか。練習してたんだ。
じゃあ試合は?全国大会は?
自分の体よりも試合の事の方が心配になり急いで結斗に連絡してもらった。
金森 結斗
金森 結斗
霜真、体調は?
佐々木 霜真
佐々木 霜真
見ての通り、絶対安静。
そこらじゅう痛いし、最悪だよ。
金森 結斗
金森 結斗
そっか。
金森 結斗
金森 結斗
そんで、なんのようだ?
佐々木 霜真
佐々木 霜真
その…さ。
試合って僕…出れなかった…だろ?だから、どうなったのかな…と。
金森 結斗
金森 結斗
負けたよ。100点ゲーム。
圧勝された。
佐々木 霜真
佐々木 霜真
ごめん。僕がいれば…。
金森 結斗
金森 結斗
……。
金森 結斗
金森 結斗
また来る。
そう言って、結斗は病室を出ていった。






僕のせいだ。

キャプテンなのに。

全国大会目指すって言い出したのは僕なのに。

無責任だ。

ごめんなさい。

僕さえいれば…。いや。

いても変わらなかったかもしれない。

たった一人で試合の結果は変わるのか?

僕は天才じゃない。

エースでもない。

そんな人がいた所で結果はきっと同じ。

だから敗因は絶対僕だ。

僕はどうすればいい。

もう部員に顔向け出来ない。

ねぇ、結斗。

お前は僕のせいだと言ってくれるのか。

バスケ部には僕が必要だって。

そう言ってくれるのか。


なにか…言ってくれよ…。

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