第5話

#4.5 俺は全て分かってた
27
2021/08/09 12:27
あの時、俺は何も言えなかった。

霜真は悪くない。
俺らは強い霜真に任せっきりになってた。あいつが責任を感じてはいけない。

なのに…俺は…。

病院の帰り道、俺は後悔していた。
事故に合う。そして、霜真は死ぬ。

それは前から予感はしていた。

現に霜真は練習で体調を崩していた。
だから、加奈に伝言を頼んだんだ。
「体調崩してなら早く帰って休め。」って。当日、出れなくて嘆くのはあいつだからな。それなのに……。
金森 結斗
金森 結斗
くそ…。
勘が鋭いとか言われておきながら、何も出来ない自分に腹が立った。

それで、霜真に八つ当たりしたなんて言えやしない。

金森 結斗
金森 結斗
ごめん。霜真。
お前は何も悪くないんだ。
お前はバスケ部に必要な人間なんだ。
そう言ってやるべきだった。
霜真は俺にとっての恩人。

俺はこの勘のせいで人から見てみぬふりをする最低な人と言われ、ずっと他人と、距離を置いていた。

そこに霜真がきた。

霜真は何も気にしない。
明るく話しかけてくれて、勘も1つの個性として認めてくれた。


俺はあいつに言わなきゃいけない事がある。

忘れるわけがない、あの日の1言を。
俺はあの1言に救われたのだから。

霜真、ごめん。

俺にとってお前は俺の1番だから。


次に会ったときはちゃんと謝ろう。
そう決めて、帰路についた。

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