第140話

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2024/02/25 12:00
俺と真優が出会ったのは、Snow Manが9人になり始めた頃。





このマンションのエントランスで、あなたと同じ感じで。泣くのぜってぇ我慢してんだろ。って顔で鉢合わせた。











あなたと違うところは、ひとつ。真優はすぐに俺に気づいた。芸能人の佐久間大介だって。



なんとなく、好奇心だったと思う。



「どうして泣きそうなの?」って聞いたのは。













真優は樋口真優ですと名乗って、普通の会社員をしてるって喋り出した。



さすがに俺もね、国民的とか言われ始めてたから周りには神経を使ってて。



真優を部屋に誘って、泣くのを必死に我慢して今とは違うちょっと硬めのソファに座り込んで話を聞くことにしたんだ。












俺は興味本位。真優は顔も知らない、どうせ一度しか会わないだろうっていう相手に話をしたかったんだと思う。



真優は口を開けたらもう、止まらなかった。











五年も付き合ってた彼氏が、実は既婚者だった事。



ずっと騙されてて、それでも嫌いになれない自分が嫌だって事。まだ信じてしまう自分がいるって事。



離れたいのに、離れられないって悩んでた事。
















「……それって」



大介「そ。ちょっと前までのあなたとおんなじ」

















あなたと違うのはもうひとつ。彼女はもともと少しいい家の一人娘でこのマンションの中古物件に住んでいるということ。



そして彼氏が自分のお金持ちというところに惹かれていることを知って



絶望を見たと泣き喚いた。











その頃の俺はまだ少しガキで、どうしようもできなくて



気づいたら抱きしめてて、真優はそれを拒まなくて



すぐに俺と彼女はそういう関係になった。













あれを恋と呼んだらいいか、今になってもわからない。



同情だったのか、恋情だったのかも、分からない。



分からないけど好きだった。そばにいたかった。守ってやりたかった。











触れたら壊れてしまいそうな、真優が好きだった。
















真優は彼氏とは別れようと頑張った。俺も必死にバックアップしたし



二人で頑張ろうって笑いあった日もあった。




幸せだったと思う。











頻繁に会ったりしたし、若気の至りってことでお忍びデートもした。



楽しかったんだ。

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