第145話

144.
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2024/03/01 12:00
窓の外に映る東京タワーは、どうやら何かのアーティストとコラボしているのかいつもと違うライトアップで



なんだかそれがやけに私の胸を苦しめた。












大介「俺を好きにさせてって契約だって、あなたを離したくなかった。他の人がさやちゃんって呼ぶとイライラする」



「……」



大介「でもそれは、恋なのかと訊かれたら頷けない」



「……」



大介「本気で俺のことを好きにさせてくれたらって思ってたのも本当。」



「…。」



大介「その前に、俺が罪悪感に負けたんだけどね」












切なそうに笑って、自分自身を嘲笑う。



せっかく作ったハンバーグはもう、すっかり冷めてしまっている。



ビールはすっかりぬるくなって、泡も無くなって、不味くなってる。











「……ずるい」



大介「…うん」



「自分勝手」



大介「…うん」



「最低」



大介「…うん」



「嫌い」



大介「…うん」



「大嫌い」



大介「…うん」



「…っうそ」












「だいすき………」












溢れたものは、本当の気持ちだけじゃなくて



バカみたいに溜めていた涙で











堪らなくなって、ダイに抱きつけば



私の大好きなダイの香りが鼻をくすぐってまた、胸が痛くなった。










嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。



もう一緒にいられないなんて、嫌だ。さよならなんて、嫌だ。



嫌だけど。…嫌だけど。











人間は欲深い。



最初は利用されていい、とか。真優さんの代わりでいい、とか。そう思っててもいつかガタがくる。



いつか、「私を見てほしい」って言う欲が出る。











ダイはそれを、たぶん、知っている。











いらなかった。



あなたの切れ端は、もういらなかった。















「だい…、だい」












まるで壊れたオモチャのように、ダイの名前を呼び続けて



ダイはそれを受け入れて、ただただ私の頭を撫で続けた。











何が誤算だった?


















大介「……あなた」



「……」




















大介「契約を、破棄しよう」















きっと、私がダイを好きになってしまったこと



ダイが私の隣を心地良いと思ってくれたこと
















「………わかった」



















二人の誤算が、二人に戻れなくした。

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