そう言って体温計を差し出し、熱を測る。
誤魔化しはきかないからね。
半冷半熱だから体温調整できるのは知ってるけど、今やられたらちゃんと熱測れないもの。
そう言って頭を撫でてやると、弟は気持ちよさそうに目を細める。
そう言うと、弟はふるふると首を振った。
え、違うの?
弟は嬉しそうに笑うと、体を起こす。
ふらりと傾いた体を、慌てて支える。
熱のせいで体は火照り、呼吸も荒い。
弟は荒い呼吸を繰り返しながら、私を見つめた。
なにかを拒絶するように首を振りながら、弟は私に縋り付くようにして抱きついてくる。
そう答えた弟を支えながら、私たちは部屋を出て共有スペースに向かう。
ひとりじゃまともに歩けてないから、こうやって支えてないとダメなんだ。
なんとか歩いてエレベーターに乗り、共有スペースまでたどり着く。
私はとりあえずソファーまで歩き、弟をそこに横にさせる。
みんなはまだ帰ってきていないみたい。
持ってきた毛布をかけてやりながらそう言うと、弟は力なく頷いた。
私は調理場に移動し、牛乳や砂糖を取り出してホットミルクを作り始める。
みんなが帰ってくる前に飲ませて部屋に戻りたいけど、時間的に無理そうだなぁ。
そう思いながらホットミルクを作り終え、弟の方へと持っていく。
私の言葉に反応するように、弟はのそのそと起き上がる。
私は机にホットミルクを置いて弟の隣に座り、額に手を当てた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。