第564話

No.559
6,324
2021/07/10 06:25
あなた
熱測ろっか
轟焦凍
うん







そう言って体温計を差し出し、熱を測る。






あなた
個性使っちゃダメだよ?
轟焦凍
...わかった







誤魔化しはきかないからね。





半冷半熱だから体温調整できるのは知ってるけど、今やられたらちゃんと熱測れないもの。







あなた
38.6度...。まだ結構あるね
轟焦凍
悪ぃ...
あなた
あんたが謝ることじゃないよ
轟焦凍







そう言って頭を撫でてやると、弟は気持ちよさそうに目を細める。







轟焦凍
なあ、あなた
あなた
なあに?
轟焦凍
ホットミルク飲みてぇ
あなた
じゃあ作ってくるから、ちょっと待ってて







そう言うと、弟はふるふると首を振った。





え、違うの?







轟焦凍
一緒に行く
あなた
え、でも...
轟焦凍
お願い
あなた
...わかったよ







弟は嬉しそうに笑うと、体を起こす。







あなた
起きて大丈夫なの?
轟焦凍
平気だ、これくらい...
あなた
あ、ちょっと!







ふらりと傾いた体を、慌てて支える。





熱のせいで体は火照り、呼吸も荒い。







轟焦凍
わ、悪ぃ...
あなた
やっぱりここで寝てなよ。すぐに戻ってくるからさ
轟焦凍
嫌だ







弟は荒い呼吸を繰り返しながら、私を見つめた。







轟焦凍
ひとりは、嫌だ...。あなたと一緒にいる







なにかを拒絶するように首を振りながら、弟は私に縋り付くようにして抱きついてくる。







あなた
...わかった。でも、つらくなったら言ってよ?
轟焦凍
ああ、わかった







そう答えた弟を支えながら、私たちは部屋を出て共有スペースに向かう。





ひとりじゃまともに歩けてないから、こうやって支えてないとダメなんだ。





なんとか歩いてエレベーターに乗り、共有スペースまでたどり着く。





私はとりあえずソファーまで歩き、弟をそこに横にさせる。





みんなはまだ帰ってきていないみたい。







あなた
今作ってくるから、ちょっと待ってて
轟焦凍
うん、







持ってきた毛布をかけてやりながらそう言うと、弟は力なく頷いた。





私は調理場に移動し、牛乳や砂糖を取り出してホットミルクを作り始める。





みんなが帰ってくる前に飲ませて部屋に戻りたいけど、時間的に無理そうだなぁ。





そう思いながらホットミルクを作り終え、弟の方へと持っていく。







あなた
焦凍、ホットミルクできたよ。起きれる?
轟焦凍
...







私の言葉に反応するように、弟はのそのそと起き上がる。





私は机にホットミルクを置いて弟の隣に座り、額に手を当てた。

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