スーパーに着き、私と弟はペット用品売り場へと足を向ける。
動物を飼うってこと自体初めてだから、ちょっと不安。
だけど、飼うって決めたんだから最後までしっかりしないとね。
いつか忘れたけど、本で読んだことがあるんだよね。
なんで猫についての本読んでたのか知らないけど。
弟の声に、私は振り向く。
弟が見ていたのは、猫用の首輪だった。
いろんな種類があって、意外と可愛い。
とは言ったものの、どれがいいんだろ。
サイズとかあるのかな、これ。
弟が差し出してきたひとつの首輪を手に取り、私は呟く。
意外と売ってるもんなんだね。
結局、買ったものはミルクとエサ、それからピンクの首輪。
これだけあれば、とりあえずは足りるでしょ。
レジで会計を済ませたあと、弟がそう言って荷物を持つ。
こういうとこは気遣いできるよね、こいつ。
外に出ると、既に夕日は沈んでいて。
夜が始まろうとしていた。
雨はまだ、止まない。
ドヤ顔すな。
荷物を持っているから傘は私がさそう。
そう思って広げようとすると、またしても弟に阻まれた。
片手に傘と荷物を同時に持ち、私の方に傘を寄せて歩く。
...肩、濡れちゃってるじゃん。
傘を押して、押し返しての繰り返し。
変なとこで頑固にならないでくれ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。