朝日が差し込み、目が覚める。
あれ、私昨日どうしたんだっけ...。
確か、弟の部屋に行って、膝枕してもらって、それで...。
昨日の記憶を思い出し、私は勢いよく起き上がる。
じゃあ私、なんで今布団で寝てるの?
疑問に思いながら、私は辺りを見回す。
と、
少し離れたところで寝ている、弟の姿を見つけた。
布団には入らなかったらしく、壁にもたれかかっている。
布団から出て、弟の側に座る。
それから肩を軽く叩き、起こそうとする。
と、弟が私の方に倒れ込んできた。
慌てて抱きとめ、顔を覗き込む。
どうやら叩いた衝撃で体のバランスが崩れ、倒れてきたようだ。
普段とは違う幼い寝顔に、思わず笑みが零れる。
相変わらず面がいいなぁ。
顔面偏差値カンストしてるよね。
...全然起きないんだけど。
熟睡してるよ、こいつ。
頭や頬を軽く叩いてみるが、起きる気配はない。
...仕方ない、最後の手段だ。
私は寝ている弟の後頭部を押さえ、ぎゅううっ、と音が出るくらい強く抱きしめる。
さすがに苦しくなれば起きるでしょ。
起こし方最低だけど、起きなかったあんたが悪いんだからね。
少ししてから、腕の中で弟が呻く。
しばらくの間もぞもぞと動いていたかと思うと、やがて薄らと目を開けた。
おそらく寝ぼけているのだろう。
弟はぼーっ、としながら、今自分の顔がある位置のそれに手を伸ばしてきた。
なにとは言わないけど...うん、今の私の体勢から察してほしいな。
と、
弟がバネのように飛び上がり、一気に私から距離をとった。
あ、やっと覚醒したみたい。
思った通り、顔が真っ赤になっているのが見える。
...まあいつかほんとに襲われかねないだろうし、今やっても変わんないよね、という、私の勝手な判断だ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。