第514話

No.511
7,255
2021/06/06 14:50
あなた
...







朝日が差し込み、目が覚める。





あれ、私昨日どうしたんだっけ...。





確か、弟の部屋に行って、膝枕してもらって、それで...。







あなた
...!







昨日の記憶を思い出し、私は勢いよく起き上がる。





じゃあ私、なんで今布団で寝てるの?





疑問に思いながら、私は辺りを見回す。





と、







轟焦凍
...







少し離れたところで寝ている、弟の姿を見つけた。





布団には入らなかったらしく、壁にもたれかかっている。







あなた
焦凍、起きてってば。焦凍







布団から出て、弟の側に座る。





それから肩を軽く叩き、起こそうとする。





と、弟が私の方に倒れ込んできた。





慌てて抱きとめ、顔を覗き込む。





どうやら叩いた衝撃で体のバランスが崩れ、倒れてきたようだ。







轟焦凍
...







普段とは違う幼い寝顔に、思わず笑みが零れる。





相変わらず面がいいなぁ。





顔面偏差値カンストしてるよね。







あなた
しょーと。起きて







...全然起きないんだけど。





熟睡してるよ、こいつ。





頭や頬を軽く叩いてみるが、起きる気配はない。





...仕方ない、最後の手段だ。







轟焦凍
...







私は寝ている弟の後頭部を押さえ、ぎゅううっ、と音が出るくらい強く抱きしめる。





さすがに苦しくなれば起きるでしょ。





起こし方最低だけど、起きなかったあんたが悪いんだからね。







轟焦凍
...んん、む







少ししてから、腕の中で弟が呻く。





しばらくの間もぞもぞと動いていたかと思うと、やがて薄らと目を開けた。







あなた
あ、起きた?
轟焦凍
...?
あなた
!ちょっと、どこ触ってんのよ







おそらく寝ぼけているのだろう。





弟はぼーっ、としながら、今自分の顔がある位置のそれに手を伸ばしてきた。





なにとは言わないけど...うん、今の私の体勢から察してほしいな。





と、







轟焦凍
...!!?







弟がバネのように飛び上がり、一気に私から距離をとった。





あ、やっと覚醒したみたい。





思った通り、顔が真っ赤になっているのが見える。





...まあいつかほんとに襲われかねないだろうし、今やっても変わんないよね、という、私の勝手な判断だ。

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