詰め寄ってきた上鳴くんと峰田くんに連行されていく弟。
え、待って行かないでよちょっと。
私だけ置いていかれたら女子たちが...。
やばい。
思わず逃げようと立ち上がるが、まだ熱があるせいで一瞬視界が眩む。
なんとか倒れそうになるのを堪えるが、それのせいで逃げ損なってしまった。
三奈ちゃんと透ちゃんに両脇を挟まれ、響香ちゃんに背中を押されて連行される。
終わったな、これ。
女神がおる...!
思わず二人に拝みそうになる私。
そうそう、まだ熱あるから私は部屋に戻って...。
透ちゃんの言葉に、二人は考え込むような表情になる。
部屋戻らせてくれ。
そしてなんとかして誤魔化す策を練らなきゃ。
あんまり詰め寄られるのは勘弁だよ。
ひとつだけなら、まあなんとかなるかな。
一番聞かれたくないこと聞いてきたなおい。
これ、正直に答えるしかないんかな。
肯定したくないけど、かといって嘘もつきたくないんだよね。
さてどうしよう。
まごついていると、すぐ近くで弟の声が聞こえた。
振り返ると同時に、弟は私の頭に手を乗せた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。