第113話

No.113
17,206
2020/11/08 06:27
あの後。





私たちは弟とヤオモモちゃん、二人と合流した。





その頃には既に夜が明けていて、空が明るくなっていた。





私と爆豪くんは警察に行き、事情聴取を受ける。





弟は待ってると言っていたけど、多分遅くなるだろうから先に帰ってもらった。





事情聴取がすべて終わった頃には、既に日は沈みかけていて、夕方になっていた。





いったい何時間事情聴取を受けたのだろう。





爆豪くんと警察署を出たあと、駅まで歩く。





その間、私たちは一言も言葉を交わすことはなかった。







あなた
あ、私、こっちだから
爆豪勝己
おぉ、じゃーな
あなた
うん、またね








話した内容は、たったこれだけ。





時刻は既に6時半。





結構遅くなっちゃった。





空は徐々に暗くなり、夜が始まろうとしていた。





電車を乗り継いでいき、駅から出る。





家に着く頃には、既に外は真っ暗だった。





久しぶりの我が家だ。







あなた
ただいま...っ!?








扉を開けてそう言った瞬間、なにかが飛びついてきた。





驚きのあまり、固まる。





なにごと?







冬美
おかえりっ!!
あなた
っ、お姉ちゃん...








飛びついてきたのは、お姉ちゃんだった。





ぎゅうっ、と私を抱きしめたまま、離さない。







冬美
よかった...!怪我してない?大丈夫だった?
あなた
うん、なんともないよ。心配かけてごめんなさい
冬美
あなたが無事ならそれでいいんだよ、!








お姉ちゃん、泣いてる。





心配かけちゃったな...。





私はお姉ちゃんを抱きしめ返し、もう一度ごめんなさいと謝った。







冬美
ヴィランに攫われた、ってニュース見てね。びっくりしちゃって...。林間合宿から帰ってきた焦凍も、全然元気なかったから。
あなた
そうだったんだ、








お姉ちゃんにも弟にも、迷惑かけちゃったな。







冬美
あなた。焦凍、部屋にいるから行っておいで
あなた
え?
冬美
たぶん、あなたのこと待ってると思うよ
あなた
...わかった








お姉ちゃんはにっこり笑うと、パタパタと慌ただしくしながらキッチンへと戻っていった。





どうやら料理中だったらしい。





私は靴を脱いで、まずは自分の部屋に行く。





あれ?





私、写真立て弄ったっけ?





なんかいろいろと、位置が変わってる気がするんだけど。





まあいいか。





荷物を部屋に置き、弟の部屋に向かう。





...ひとつも物音しないんだけど。





寝てんのかな。







あなた
焦凍、い...!








ノックしようとした瞬間、急に襖が開く。





それから言い終わらないうちに、私は部屋の中へ引きずり込まれ、なにかに抱きしめられた。

プリ小説オーディオドラマ