しばらくみんなで話していると、B組の生徒たちがこちらに向かってくる。
そう煽るような発言をしてきたのは、B組の生徒の一人、物間寧人。
ま、性格はわかっているから、特に気にとめない。
ムカつくというより、ただただうるさい。
と、そんな物間くんの頭をベシッ、と叩いた者が一人。
物間くんの首根っこを掴んでそう言ったのは、拳藤一佳。
B組の生徒であり、私の友達でもある。
頼りになるんだよね。
物間くんの首根っこを掴んだまま、一佳ちゃんはそう言ってバスに乗り込む。
なんか、物間くんの保護者みたい。
B組の女子に視線を向けてヨダレを垂らしている峰田くんに、切島くんが真顔で突っ込んだ。
B組の女子まで、峰田くんの被害に合わなきゃいいけど。
ダメだ、話が通じない。
思わずため息をつくと、背後からぬっ、と弟が現れる。
右手に冷気をまとい、左手に炎をチラつかせる弟。
それを見た峰田くんは、萎んだ風船のように一気に大人しくなった。
癖のある動作をしながら、飯田くんが私たちに言う。
あれ、私の隣って誰だっけ。
忘れた。
***
ワイワイガヤガヤと騒がしい、バスの中。
男子は男子同士、女子は女子同士で、楽しそうにおしゃべりしている。
なのになんでだ。
どうしてこうなった。
不機嫌そうに舌打ちをしたのは、爆豪くん。
なにを隠そう、彼は私の隣の席なのだ。
つまり、まあ、うん。
誰か助けてくれ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。