私が言い終わる前に、二度目のキスをされる。
熱い。
顔も、体も。
これがしばらく続くと思うと、恥ずかしすぎて耐えられない。
思わず弟の制服を握ると、弟は唇を離して私を見つめる。
まともに見つめ返す勇気がなくて、私は弟から顔をそらした。
なにを言っているのでしょうか。
いつも通りでしょ、顔なんて。
指摘されたせいか、余計に熱が集まっていくのがわかった。
弟はそんな私を見て、ふっ、と微笑む。
ぶわっ、と真っ赤になる私を見て、弟はその反応を楽しむかのように笑う。
こいつ、自分が原因だって自覚あるのか?
なんだよなんだよなんだよ!!
さっきから恥ずかしいことばっか言って!!
このド天然野郎。
だめだこりゃ。
さっきと同様、言葉を遮られる。
噛み付くような勢いで、弟は私の唇に自分の唇を合わせてくる。
何回も、何回も...。
それに耐え続けていると突然、弟が私の唇をぺろ、と舐めた。
急なことに驚いて体が反応し、肩が跳ね上がる。
引き結んでいた唇の力が緩んだ。
それを見た弟は、もう一度唇を合わせてくる。
それだけなら、まだよかった。
が、今度は唇を割って、舌を入れてくる。
キス魔、って、こういうものなわけ?
息が続かない。
自分にとって初めての感触に、混乱する。
私はなんとか逃れようと、弟の胸元をどんどんと叩いた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。