第37話

No.37
24,521
2020/09/14 12:23
轟焦凍
姉さん、行ってくる
あなた
行ってきます、お姉ちゃん
冬美
行ってらっしゃい二人とも。あんまり遅くならないようにね、気をつけてね








返事をしてもう一度行ってきます、と言い、私と弟は家を出る。





今日は弟と出かける日。





と言っても、林間合宿に必要なものを買いに行くだけなのだけれど。







轟焦凍
なんか服装、いつもと違くねぇか?
あなた
そう?








今日の私の格好は、白縹(しろはなだ)の無地のワンピース。





色も涼しげだし、この季節にはピッタリだと思ったんだけど。





変だったかな。







あなた
なんか変だった?
轟焦凍
違ぇ、むしろ逆だ
あなた
逆?
轟焦凍
可愛いし、似合ってる








真顔で言うのやめれ。





なんか照れる。





絶対口には出さないけどね、こんなこと。







あなた
ありがと
轟焦凍
おう








電車を乗り継いで、ショッピングモールに向かう。





できればみんなと行きたかったな。







轟焦凍
すげぇ人だな
あなた
まあ、ショッピングモールだからね








なるべく人混みは避けたかったんだけど、買いたいもの揃ってるのここくらいしかないんだよね。





さて、まずはどこに行こう。





と、







モブキャラ
あれ、雄英の轟じゃね?








人混みの中から、そんな声が聞こえた。







モブキャラ
ガチじゃん!そういえば前にも雄英の一年来てたよな
モブキャラ(女)
テレビで見るより実物の方がイケメンっ!








一部の人たちの声が聞こえたのか、その周りの人たちもこちらに集まってくる。





まずい。





早く人混みから避けられる場所を探さないと。







轟焦凍
あなた、逃げるぞ
あなた
わかってる








それは弟も同じだったようで。





私たちはその場から逃げ出した。





が、私より弟の方が足が速く、私はすぐに置いていかれてしまう。





それに気づいた弟が、私の手を掴んだ。







あなた
轟焦凍
俺から離れんなよ
あなた
...うん、っ








背を向けて走りながら言う弟に、私は頷いた。





それからしばらくして、







あなた
はあっ、はあっ...
轟焦凍
大丈夫か?
あなた
な、なんとか...。








なんとか人混みを避けることができた私たちは、ベンチに座って休憩していた。





やっぱり体力がないんだな、とつくづく思う。





もっとトレーニングしておかなきゃね。





それに比べて、弟は全然平気そうにしている。







轟焦凍
これからどうする?
あなた
んー。買い物したいところだけど、またさっきみたいになったら困るんだよね








雄英高校の体育祭のおかげで、私たちはちょっとした有名人みたいなもの。





もちろん世間の人たちは知っていると思うし、私たち自身もテレビ中継されたことは知っている。





だけど、さっきみたいなことが多くなる。





うーん、どうしよう。





...あ、そうだ。







あなた
ねぇ
轟焦凍
あなた
いいこと思いついちゃった








きょとんとしている弟に、私は思いついたことを話した。

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