第507話

No.504
7,416
2021/05/23 06:43
轟焦凍
あなた、飲み物買ってきたぞ
あなた
ありがと







弟から飲み物を受け取り、私はストローに口をつける。





てかこの入れ物、セメントス先生になってる。





よくできてるなぁ、なんて思いながらジュースを飲む。





ちなみに中身はココナッツジュース。





...セメントス先生と全然関係ないや。







轟焦凍
さっき、災難だったな
あなた
そうだね







だから女子は嫌いなんだよ。





一々めんどくさい。







あなた
...なんであの公共の場で名前呼んだの
轟焦凍
ダメだったか?
あなた
いや、そういうわけじゃないけど...







もう隠す気はないから、それに関しては別にいい。





ただ、少し恥ずかしかった。





それだけだ。





いや、俺の女呼ばわりされて恥ずかしくない人いる?





普通は恥ずかしいよね、そうだよね。







轟焦凍
こうすれば、お前に変な男は寄ってこなくなるだろ
あなた
わかんないけど、たぶんね
轟焦凍
まあ、もしまだ寄ってくるようだったら俺がなんとかするからな
あなた
ありがと







ぽんぽんと頭を撫でてくる弟に対し、私はされるがまま。





周りの視線がこちらに向いているような気がするが、今はどうでもいい。





柄じゃないけど、こうやって今の私たちを見せることによって、他の女子や男子たちが寄ってくることはなくなるのかもしれない。





...中学の時みたいになるのは嫌だけれど、高校生にもなればもうそこまで子供じゃないだろう。





少なくとも、私はそう思ってる。







轟焦凍
あなた、口元ついてる
あなた
え、どこ
轟焦凍
取ってやるから動くな
あなた
んむ、っ!?







視界が一気に暗くなったかと思えば、ざらりとした感触が唇に走る。





それが弟の舌だと気がついたのは、弟が私から離れたあとだ。







轟焦凍
ん、甘ぇな
あなた
な、なにもそこまでしなくても...
轟焦凍
別にいいだろ。俺ら付き合ってんだから







そうだけどそうじゃない...。





顔を真っ赤にして俯く私に対し、弟は平気そうな顔をしている。





が、私の方をちらりと見て、クスッ、と笑った。







轟焦凍
相変わらず反応可愛いな
あなた
か、可愛くなんて...
轟焦凍
俺にとってはすげぇ可愛い
あなた
口説いてこないでよ、もう







意地悪なんだから。





私はふいっ、と顔を背けて、ジュースをひとくち飲む。





この状況見た人、明日になったら学校中で騒ぎ立ててそうだよ。

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