昼休みの時間になって、三奈ちゃんがそう言い出した。
すんごい唐突だけど、いいのかな。
というか、爆豪くんはどんな反応するのやら。
キレないといいけど。
話がまとまった直後、爆豪くんが教室に入ってきた。
自分の席に腰掛けたのを見て、私たちは爆豪くんの方へと向かう。
ド直球だな、三奈ちゃん...。
内心少しヒヤヒヤしながら見守っていると、爆豪くんが口を開いた。
私は安堵の息をついた。
よかった、怒ってはいないみたい。
女子に対しても容赦ないあだ名つけるな、爆豪くん。
ひとりも名前で呼んでない...。
というか、見たまんまのあだ名つけるんだね、爆豪くんって。
なんで黙るのさ。
爆豪くんは突然黙り込むと、ちらりと私の方に目を向けてくる。
え、なに。
意図がわからず、私は思わず首をかしげる。
爆豪くんはしばらく私を見つめていたが、やがて目をそらす。
それからぼそりと呟いた。
女子たちがキャーキャー騒ぎ出す。
その横で、私は呆然としていた。
だって、私のこと舐めプだの鈍感だのいろいろ言ってたのにさ。
いきなり名前、って...。
いやあながち間違ってはないけども。
普通に『舐めプ女』って言うのかと思ってた。
なんか勝手に盛り上がってるけど...。
爆豪くん、なんで私だけ名前で呼んだんだろ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!