第303話

No.302
10,243
2021/01/01 12:32
轟焦凍
じゃあ、服脱いでくれ
あなた
ちょっと待て







タオル片手に爆弾発言する弟を、慌てて止める。





いや、服脱いでくれじゃないよ。





女子相手になに言ってんだよ。







あなた
なんで脱がないといけないの
轟焦凍
だって、体拭けねぇだろ?
あなた
そういう問題じゃないの







弟は意味がわからないままなのか、目をぱちくり。







あなた
あんたは男子、私は女子なの。わかる?
轟焦凍
?おう
あなた
だからあんたが私に服を脱げ、って言うのは、セクハラ発言に値するの
轟焦凍
そうなのか?
あなた
そうなんだよ







絶対わかってないだろこの天然。







轟焦凍
でも俺とあなたは双子だから問題ねぇ
あなた
大ありでしょーが







"双子"だから尚更問題ありだよ。





恋人ならまだしも、私たちは双子なんだからね。







轟焦凍
けどそれだったら、背中とか拭けねぇだろ?だから俺が拭く
あなた
いやいやいや。いくらなんでもダメでしょ
轟焦凍
なんでだ
あなた
だってあんた、男だし...
轟焦凍
爆豪よりはいいだろ
あなた
なんで爆豪くん...







こんなところで頑固モードに突入しないでくれよ。





だけど、女子たちを部屋に呼んで拭いてもらう、ってわけにもいかないんだよなぁ。





うつしたら悪いもん。







轟焦凍
俺以外のやつに拭かせたら、風邪うつっちまうかもしれねぇぞ
あなた
それはそうなんだけど、
轟焦凍
だから俺が拭く。他のやつにはやらせたくねぇ
あなた
変態ですか?







あんた私のことどんな目で見てるんだよ。





なんか卑猥なこと、想像してたりとかしないよね?







轟焦凍
今承諾しなかったら、これからみんなの前でも構わずに甘え倒すからな
あなた
なにそのデメリットしかない罰ゲームは
轟焦凍
なんでだ。メリットしかねぇだろ
あなた
私にとってはデメリットだけだよ
轟焦凍
いいから早く決めろ。あと10秒
あなた
え、ちょっ







急に始まったカウントダウンに、私は戸惑う。





てか、私に拒否権ないのかよ。







轟焦凍
7...6、
あなた
私に拒否権は?
轟焦凍
ない。5...







この野郎...。





私は迷って迷って、さんざん迷った挙句の果てに、選択する。







あなた
...体、拭いてもらう
轟焦凍
お。わかった







服脱いでくれ、と悪びれもなく言う弟を、私はジト目で見つめた。







あなた
...見ないでよ。後ろ向いてて
轟焦凍
わかった







弟が後ろを向いたのを確認して、私は渋々服を脱ぎ始める。







轟焦凍
でもよ、結局お前の体拭くから、今後ろ向いてても意味なくねぇか?
あなた
言いながらこっち向かないでよバカ!
轟焦凍
お、悪ぃ







話しながらこちらに振り向いた弟。





私は慌てて服で体を隠し、見られないようにする。





対して弟は、悪ぃのひと言。





こいつ、ほんとに悪いと思ってる時と思ってない時で、このひと言の重みが変わってくるんだけどね。





今は絶対、悪いと思ってないひと言だったよ。





こいつの将来、ほんとに不安になってくるよ。

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