岩陰に隠れて相手の様子を伺いながら、弟が呟く。
え、珍しい。
爆豪くんのことだから、ひたすらぶっ飛ばすとか言うと思ってた。
そう言うと、爆豪くんはこちらを見つめてニヤリと笑った。
雑だな。
まあ、爆豪くんらしいけど。
弟と爆豪くんの共闘...。
レア物だよ。
授業だったらやらないと思うけど。
私と爆豪くんがそう言ったのと同時に、弟が飛び出す。
右の氷結で相手の足場を凍らせ、身動きできないように仕留める。
それを確認したあと、私と爆豪くんが弟に続いて飛び出した。
BOMBOMと手で爆破を起こしながら、爆豪くんは相手に迫っていく。
でも死ねはダメだよ爆豪くん...。
またギャングオルカに怒られるよ...?
白い息を吐きながら尋ねる弟に、爆豪くんが勝ち誇ったような笑みを浮かべて返事をする。
私いる意味あった?
二人くらいしかやってないんだけど。
シンプルに珍しいって思っただけだよ。
だって爆豪くん、いつも正面突破だもの。
隠れながら行動するのは、なんだか彼らしくないような気がしたんだ。
喧嘩しないで。
仮免取るためには講習頑張らなきゃいけないんだから。
こんなとこで揉めててお払い箱とか、一番嫌なパターンだよ。
歩き出した二人を見ながら、私は軽くため息をついた。
...あとでギャングオルカに怒られなきゃいいけど。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。