第288話

No.288
10,853
2020/12/26 10:28
あなた
てかさ
轟焦凍
あなた
なんで私、あんたの膝に乗ってるの?
轟焦凍
ああ。俺が乗せた
あなた
降ろせ








膝の上乗せる必要ないでしょーが。





そう思って降りようとすると、離さないとでもいうようにお腹に腕を回される。







あなた
っ...なに
轟焦凍
...もうちょっとだけ
あなた
...わかったよ







私が魘されてるところなんて、たぶん弟は見たことがなかったんだろう。





不安にさせちゃったかな。







あなた
そんなことしてたらほんとに風邪うつっちゃうよ
轟焦凍
うつらねぇ







またフラグ立てちゃって。







轟焦凍
まだしんどいか?
あなた
まあ、ね。だいぶ楽にはなったけど








それより早く膝から降りたいんだが。





けど弟は、私を離してくれない。







あなた
ところで、そろそろみんな戻ってくる時間だと思うんだけど...








そう言ったその時だった。





自室のドアがノックされ、誰かが顔を出す。







麗日お茶子
お邪魔します。あなたちゃん、体調だいじょう...








顔を出したのは、お茶子ちゃんだった。





彼女はそう言いながら、こちらに目を向ける。





当然目に映るのは、私を膝の上に乗せて抱きしめている弟の姿で...。





あ、これヤバいやつだ。





なんて言葉が脳内でリピートしたが、もう遅い。







麗日お茶子
ご、ごめん!私お邪魔やよね!退散します、ごゆっくり!!
あなた
!?違うのお茶子ちゃんカムバック!!








顔を真っ赤にしてドアを閉め、逃げ去って行ったお茶子ちゃんに慌てて声をかける。





が、一足遅かったようだ。





どうしよう、絶対変な誤解された...。







轟焦凍
...
あなた
ね、離して。お茶子ちゃんのとこ行って誤解解かなきゃ
轟焦凍
誤解させればいいじゃねえか
あなた
なに言ってんの








風邪うつった?





頭おかしくなったんじゃない?







轟焦凍
あなたを看病すんのは俺1人で十分だ
あなた
うん、わかった。わかったから一旦行かせて?
轟焦凍
嫌だ







病人相手にこいつはなに言ってんだよ。





力ずくで離れようと試みるが、そう上手くはいかない。





まずこの握力ゴリラに力で勝てるはずないんだよね。







轟焦凍
そんなに行きてぇなら、俺が行ってくる
あなた
それは助かるんだけど、なに言うつもり?
轟焦凍
あなたは俺んだ、って...
あなた
やっぱり私が行く








誤解の上にさらに誤解を招くようなこと言うんじゃないよ。





こいつに任せたらダメだわ、やっぱり。

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