第266話

No.266
10,868
2020/12/17 10:35
轟焦凍
...
爆豪勝己
...
あなた
...








二人がものすごく静かだ。





原因はひとつ、今見ているホラー映画。





そして、二人に挟まれてサンドイッチ状態の私。





なんで同じ場所に三人も座るんだよ。





他のスペースも空いてんでしょーが。







轟焦凍
...
爆豪勝己
...








そんなことを心の中で言っている私に対して、二人は無言。





テレビに釘付けだ。





主人公のダグラスとヒロインのトーニャが、薄暗い廊下を歩く。





しーん、と静まりかえっている部屋に響くのは、テレビの中の足音だけ。





...ん?







あなた
...爆豪くん?
爆豪勝己
...








返事はない。





相変わらずテレビに夢中だ。





私が彼に声をかけたのは、彼が私の右腕を自分の方へと抱き寄せたからである。





え、もしかして。







あなた
爆豪くん、こういうの苦手?
爆豪勝己
!...んなわけねぇだろ、余裕だわ!!








言葉と行動が合ってないよ。





そう突っ込もうとしたけど、やめた。





私は静かに映画を楽しみたいからね。







轟焦凍
...
爆豪勝己
...








弟は私の左腕に、爆豪くんは私の右腕に。





二人ともがっしりと私の腕に抱きつき、離れない。





これ、無意識?







あなた
...








私はなんとなく二人をちらりと見る。





弟は弟で握力ゴリラだけど、爆豪くんも似たようなものだよね?





握力がゴリラ並みの人って、ヒロインポジションに付きやすかったりするの?







轟焦凍
...!








ヒロインの叫び声に驚いたのか、弟が私の左腕をぎゅうっ、と抱きしめる。





痛いんですけど。







爆豪勝己








爆豪くんも同様に、驚いたように肩をビクつかせる。





無意識なのかわからないけど、私の腕をぎゅうっ、と抱きしめている。





二人とも力強いから痛いだけなんですけど。





離してくれよ。





なんて思いながら映画鑑賞を続けていると、雷鳴が轟いた。





それと同じタイミングで、ヒロインが叫ぶ。







轟焦凍
爆豪勝己








私は思わず吹き出しそうになってしまった。





だってこの二人、全く同じ反応するんだもの。





同時にしがみついてきて同時に声をあげる二人。





この二人、意外と似たようなところあったりしてね。

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