第136話

No.136
16,777
2020/10/09 09:45
必殺技、か。







あなた
はぁっ!








寮に入ってから4日が過ぎ、いつもの日常が戻ってきた。





ヒーローを目指し、切磋琢磨する日常へ。





そんな中で、今日からの授業では一人最低でも二つ、必殺技を作ってもらうとのことだ。





そのための訓練を、今行っている。





私はとにかく、そのための炎を出し続けていた。







オールマイト
轟少女
あなた
っ!オールマイト...








炎を出し続けていたところに、オールマイトが姿を見せる。







オールマイト
必殺技は完成できそうかい?
あなた
いえ...まだ完成には程遠く感じます。自分がどんな技を作りたいのかすら、わからないんです








私は自分の両手を見つめた。





弟のように氷結が使えたら、まだ違ったのかもしれない。







オールマイト
君は、なにを目指したい?
あなた
そりゃもちろん、ヒーローですよ。貴方みたいなヒーローになりたい、って、憧れたんですから
オールマイト
嬉しいね。でもさ、それは本当に自分がやりたいと思っていることなのかい?
あなた
...?どういうことですか?
オールマイト
ヒーローになる。この目標は確かに大切なことだ。だけど、一番大切なのは、どんな自分になりたいかじゃないかな
あなた








目からウロコとは、このような時を指すのだろうか。





なりたい自分、か...。









"もういい。お前は失敗作だ"









父の言葉が、私の脳内でこだました。





"失敗作"





この言葉が、どうしても脳内から離れない。





10年たった今でも、鮮明に覚えている。





私の中のなにかを、どんどん黒く染めていった原因の言葉だった。







あなた
...オールマイト
オールマイト
あなた
私は、いいんでしょうか。出来損ないの失敗作のくせに、ヒーローを目指していいんでしょうか...








思わず口走った言葉に気づき、慌てて口を押さえる。





なにを言ってるんだ、私は。





オールマイトはこちらを見つめ、驚いたような表情をしていた。







あなた
どうかしましたか?
オールマイト
いや、君が弱音を吐くところなんて見たことなかったからね。少し意外だと感じたんだよ
あなた
私だって弱音くらい吐きますよ
オールマイト
でも君、爆豪少年と少し似ているところがある気がしてね。たから余計に意外だと感じたのかな








似ている?





私と爆豪くんが?







あなた
具体的にどこが似ていると?
オールマイト
猪突猛進なところ
あなた
...貶してます?
オールマイト
いや、褒めてるよ








貶されてるようにしか思えないのはなぜ。







オールマイト
まあでも、君は失敗作なんかじゃないよ。ちゃんとしたヒーローの卵だ
あなた
...
オールマイト
君は君のやりたいことをやればいい。なりたい自分を、ちゃんと見つけなさい
あなた
はい...








なりたい自分になるために。





私は、もっと努力をしなければいけない。

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