第289話

No.289
10,807
2020/12/26 11:43
麗日お茶子
そうやったんね!あはは、ちょっとびっくりしちゃった
あなた
ごめんね、誤解招くようなことして








共有スペースにて。





私は誤解を解くために、お茶子ちゃんに先程のことを話していた。





まあ、なんとかわかってくれたみたいでよかったけど。







麗日お茶子
それにしても轟くん、あんなことするんやねぇ








意味ありげに言いながら、お茶子ちゃんは私を見つめる。







あなた
うん...。けど、みんなには黙っててもらってもいいかな?
麗日お茶子
わかったよ。でもいいなぁ。"禁断の恋"みたいな感じで








禁断の恋、とは。





どゆことぞ。







あなた
なあに?禁断の恋、って
麗日お茶子
うーん。恋しちゃダメな相手と恋する、みたいな?
あなた
みたいな、って言われても...








生憎恋愛に関しては疎いからね、私。







麗日お茶子
でもあなたちゃんを見る轟くん、恋する乙女みたいな感じやったよ







弟が恋する乙女...。





いや、想像するのは辞めよう。







麗日お茶子
そういえば、前に轟くん、キス魔になる個性にかかったことあったんよね?
あなた
え、うん
麗日お茶子
あの個性の解除方法って、最低でも100回以上キスすることやったよね?
あなた
...うん







まずい。





かなりまずい展開だぞ、これは。





焦る私とは対照的に、お茶子ちゃんは話していて楽しそうだ。







麗日お茶子
じゃあ今個性が解けてる、ってことは、"誰かとキスした"ってことだ
あなた
...
麗日お茶子
いったい誰とキスしたんだろうね







わお、こりゃ確信犯だ。





にやにやと怪しい笑みを浮かべながら問いかけてくるお茶子ちゃんから、私はスーッ、と目をそらす。







麗日お茶子
ね、誰やと思う?ちなみに"あなたちゃん以外"の女子は誰ともしてないよ
あなた
さ、さあ?誰なんだろうね







我ながらド下手くそな誤魔化し方だ。





でもこれだけは絶対バレちゃいけない。





今後の生活に支障が出るものね。







轟焦凍
あなた、ホットミルク入れたぞ。飲むか?
あなた
お、ありがと。飲む








ホットミルクが入ったマグカップを私の前に置き、弟は空いているソファーに腰を下ろす。





ありがとう弟よ、助かった。





いい所に来てくれたよ、ほんとに。







麗日お茶子
ねぇ轟くん
轟焦凍
なんだ?
麗日お茶子
キス魔になる個性かけられたとき、キスした相手って誰なん?
轟焦凍
ああ、あの時か。あなただ








前言撤回。





とんでもない爆弾落としやがったこのポンコツ。





弟の爆弾発言に、周りにいた全員がぎょっ、としてこちらに振り向く。





私はホットミルクを吹き出しかけ、なんとか留まって盛大にむせる。





あー、これヤバいやつだ。





嵐の予感がする...。

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