第652話

No.645
5,099
2021/11/21 12:49
轟焦凍
あなた







演習場に向かっている途中、弟に声をかけられる。







あなた
どしたの?
轟焦凍
...守ってやれなくて、悪かった
あなた
え?







なにさ急に。







轟焦凍
最初、庇われてばっかりだったろ
あなた
そう?
轟焦凍
...違うのか?
あなた
え、うーん...







まあ確かに、庇ったことは間違いじゃないけどさ。







あなた
あのさ焦凍
轟焦凍
うん
あなた
私、ヒーロー志望じゃん
轟焦凍
?うん
あなた
だったらさ、焦凍は絶対に私を守る必要なんてないんだよ?
轟焦凍
...え







弟は私の言葉を聞くと、その場で立ち止まる。





反応からみて、戸惑っているのだろう。







あなた
言ってる意味、わかる?
轟焦凍
え、っと...







弟はそう言うと、黙り込んでしまう。





うーん...変な意味で捉えてるのは間違いないね。





私は少し考えてから、口を開く。







あなた
守ってくれるのは嬉しいけど、私だってヒーローを目指してるんだから、たくさん守らなくちゃいけないんだよ。その中にはもちろん焦凍だって入ってる
轟焦凍
あなた
私だってそこまでヤワじゃないんだから、無理して守らなくても大丈夫だよ。私は守る立場でもあるんだからさ。ね?
轟焦凍
...うん。わかった







弟は私の言葉に納得したのか、そう言って口元を緩める。





よく伝わったな今の言葉で。





...まあ、守ろうとしてくれたのはすごく嬉しいし、私も守りたいって思うよ。







あなた
焦凍
轟焦凍
どうした?







私は周りに誰もいないことを確認してから、弟の名前を呼ぶ。





それからくいっ、とネクタイを引っ張ってこちらに引き寄せ、弟の頬にキスをした。







轟焦凍
...お







弟は私の行動に驚いたのか、声を漏らして目を見開く。





してやったり、だ。







あなた
守ってくれてありがと
轟焦凍
!...おう







弟はぱっ、と頬を赤らめると、素早く私から顔をそらす。





めっずらし、照れてる。





思わず笑うと、弟は少し不満そうに頬を膨らませた。







轟焦凍
笑うなよ
あなた
ふふ、ごめんごめん。だって珍しいからさ、焦凍が照れてるの
轟焦凍
...急にあんなことされると思わねえだろ
あなた
...嫌だった?
轟焦凍
嫌じゃねえ







そこは即答なんだね。







轟焦凍
お前にされるキスが嫌なわけねえ
あなた
っ、わ、わかったってば







てか近いよ。





ぐいっ、と顔を近づけて真剣に話す弟に対し、私は少し恥ずかしくなって顔をそらす。







轟焦凍
帰ったらいっぱいしような
あなた
い、いっぱいはしないから!!







冗談は休み休みに言ってくれよ、全く。

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