その日の夕方、仮免講習から帰ってから。
みんなは緑谷くんを囲み、インターン先が決まった彼を祝福していた。
差し出された飯田くんの手を、緑谷くんがそう言って握り返している。
飯田くんが改まったように言い終わったと同時に、上鳴くんや切島くんたちが彼らの方へと歩いていく。
そんな彼らの会話を少し離れて見ていた私と弟、それから爆豪くん。
緑谷くん早いな...。
もうインターン先決まっちゃうなんて。
壁に背中を預けて腕を組んだまま、弟が言った。
ほんとにそうだよね。
やっぱり、インターン先決めるのは結構難しいのかも。
USJの件もあったし、職場体験とは全然違うし...。
なかなか上手くはいかないのかもね。
その声に、全員が一斉に振り向く。
そこに居たのは、我らが担任の相澤先生。
インターンについてかな。
仮免講習も大変だけど、あっちはあっちでいろいろ大変そうだ。
頑張らなきゃなあ、ほんとに。
その言葉を聞いたみんなが、驚いたように声を上げる。
驚いているのは、私も同じだった。
ヒーローランキング3位、しかも九州からわざわざインターンの誘いがくるなんて。
すごいや、常闇くん。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。