第572話

No.567
6,700
2021/07/18 14:40
あなた
ん、もう熱はないみたいね
轟焦凍
じゃあ、学校行ってもいいか?
あなた
まあ、体調悪くないならね
轟焦凍
悪くねえ。行ける







弟はそう言って、じっ、と私を見つめてくる。





朝になって、弟の熱は無事に下がっていた。





まあ、体調が完全に治ったかどうかは本人しかわからないから、こんなこと言って今に至るわけなんだけど。





大丈夫そうだね。







あなた
わかったよ。じゃ、私は学校行く準備してくるから
轟焦凍
ん、またあとでな
あなた
うん







そう言ってから弟の部屋を出て、自室に向かう。





正直どうなるか心配だったけど、ちゃんと治ってよかった。





さすがに2日連続で休むのはまずいからね。





ただでさえヒーロー科はハードなのに、仮免講習もある上で授業についていくためには、相当な努力が必要だと私は思ってる。





だから、あんまり休むわけにはいかないんだ。





私はまだ、努力しなきゃいけないんだから。









***









あなた
失礼します。相澤先生、いますか







そう言って職員室に入ると、相澤先生がこちらを振り向く。







相澤消太
どうした、轟姉
あなた
外出許可をもらいたくて来ました
相澤消太
理由は?
あなた
便箋を買いに行きたいんです







私が外出許可をもらいにきた理由は、それだけだ。





寮に入ってからは、こうやって外出許可をもらわなくちゃいけないんだよね。







あなた
あと、焦凍の分もお願いできますか?一緒に買いに行きたいんです
相澤消太
よし、わかった。ただし個性事故にあったりしたら、隠さずに報告しろよ
あなた
わかりました、失礼します







特に目をつけられているわけでもないし、問題児とかそんなんでもないから許可はすぐにおりる。





...最近、お母さんに会えてないなぁ。





寮に入ってからは簡単に会えないってわかってたけど、仮免講習もあるからさらに会える機会が減っちゃったんだよね。





お姉ちゃんたちはどうしてるんだろ。





夏兄にも、もう長い間会えてないし。





手紙を書いてるとはいえ、やっぱり直接会って話したい。





手紙だけじゃおさまらないほど、話したいことがたくさんあるんだもの。





それはきっと、弟も一緒だ。





会いたいなぁ...。





ぽや、とそんなことを考えながら、私はゆっくりとした足取りで教室に戻った。

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