現在、私の部屋。
夜はだいたい、私か弟のどちらかの部屋で2人一緒に過ごしていることが多い。
まあ、ほぼ強制的に弟に連れていかれるだけなんだけどね。
ああ、さっきのか。
弟は私の言葉を聞くと、目を見開く。
が、すぐに口元を緩め、嬉しそうに笑った。
なにを言うつもりなのかはわかんないけどね。
弟は私から目をそらすと、ぼそぼそと呟いた。
思わず答えに躊躇う。
素直だな、こいつ...。
まあ、嫌じゃなかったからね。
これは私の、素直な気持ちだ。
うむ、よろしい。
あんまりやると、私の体力がもたないもの。
これだけは絶対に譲れないよ。
そう言うと、弟は納得したような表情をうかべる。
たぶん、やるとしたら結構声出ちゃうし...。
レイの睡眠を妨げることはしたくないからね。
今日はもうやったでしょーが。
私の身体がもたないよ。
そう言うと、弟はぷくっ、と頬っぺを膨らませる。
この仕草が似合う男子、なかなかいないと思うけど...。
弟がやると可愛く見えるのはなんでだろ。
それくらいで死んだりしない、って。
そう言って腕を広げた私を見て、弟はすかさずこちらに向かってダイブ。
すりすりと猫のように頭をこすりつけてくるのを見て、私は思わず笑った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。