ひとしきりブランコで遊んだあと、私たちは公園を出る。
バスの時間までは、あと30分。
どうやらお気に召したようで。
弟はご機嫌だ。
うーん、私も特にやりたいことないんだよね。
どう暇つぶししよう...。
と、誰かのお腹が鳴った。
私と爆豪くんは一瞬顔を見合わせ、音のした方に顔を向ける。
そこにいたのは、やっぱり弟。
私と爆豪くんの視線に気がつくと、恥ずかしそうに私たちから顔を背けた。
それを見た私と爆豪くんは、同時に吹き出す。
私たちの言葉を聞いて、弟は不満そうに頬を膨らませた。
まあ頑張ってたのは事実だものね。
よし。
素直に頷く弟に、私は笑みを零す。
丁度近くにコンビニがあったので、そこに入ることにした。
どっちにしろ晩御飯どうするか決めないとだし、もうコンビニで買っちゃうか。
お会計...。
弟の口からお会計って言葉が出てくるとは思わなかったな。
疲れすぎて逆にお腹空いてないんだよね。
わかるかな、この気持ち。
バスの時間まであと20分。
もうおにぎりでいいや、無難に。
あとは肉まんでも頼もう。
たらこのおにぎりひとつを持ってレジに行き、肉まんをひとつ注文する。
こんな買い食いしてるところ、お父さんに見られたら絶対怒られるだろうな。
なんて思いながら会計を済ませ、コンビニを出る。
外では弟と爆豪くんが待っていてくれ、私は慌てて二人の方へと駆け寄った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。