オールマイトの引退から、次の日。
ご飯を食べていると、お姉ちゃんから家庭訪問があると聞かされた。
そんなのあったっけ。
プリントだってもらってないし。
寮?
雄英高校に寮なんてあったっけ?
寮かあ。
みんなで生活する、って考えると、ちょっと楽しそうかも。
ふと考えた。
私と弟が寮に入ったら、家にはほとんどお姉ちゃん一人になってしまう。
お父さんは出張で留守にすることなんてしょっちゅうだ。
夏兄はたまに帰ってくるときはあるけど、そこまで頻繁にというわけでもない。
お姉ちゃんを一人にするのは、なんか嫌だな。
それでも答えを出せずに黙っていると、お姉ちゃんは少し笑った。
お姉ちゃんはそう言って、私と弟に笑いかける。
いつものように明るく振る舞うお姉ちゃんに、私は申し訳なさでいっぱいになった。
心配かけてばかりなのに、私たちのことばかり優先してくれるんだもの。
私にとって、やっぱり自慢のお姉ちゃんだ。
え、お父さん帰ってきてるの?
知らなかったんだけど。
まあ、顔合わせても喋らないし、意味ないか。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。