そんな重い雰囲気の中、爆豪くんが突然、上鳴くんを掴んで物陰に連れていく。
なにごとかと見ていると、上鳴くんであろう、放電が起こった。
それから出てきたのは、アホになった上鳴くん。
個性使いすぎるとこうなるんだよね、上鳴くんって。
アホになった彼を見て、響香ちゃんは吹き出して爆笑、傍にいた瀬呂くんたちも苦笑している。
爆豪くんはなにがしたいんだろう。
そう思って目線で追いかけていると、爆豪くんは切島くんにある物を手渡した。
それは、お金だった。
しかも結構大金。
カツアゲ、って...。
いくら爆豪くんでもそんなことはしないでしょ。
切島くんが言い終わる前に、爆豪くんはお金を押し付けて寮の方へと向かっていく。
てか切島くん、そんなの買ってたんだ。
横では、アホになった上鳴くんを見て、みんなが笑っている。
爆豪くんは、きっと自分なりにみんなを元気づけようとしていたんだ。
それなのに私、なんにもできてないじゃん。
そんなことを考えて俯いていると、私の頭にぽん、と手が置かれた。
頭に手を置いていたのは、弟だった。
弟のその言葉に、私は少し励まされた。
顔を上げて、弟を見上げる。
お礼を言うと、弟はふわりと微笑んだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。