第585話

No.580
11,080
2021/07/23 08:09
あなた
ちょ、急になにするの
轟焦凍
歩けねえだろ。俺が運ぶ







弟はそう言うと、私をお姫様抱っこしたままシャワー室に向かって歩き出す。







あなた
じ、自分で歩けるよ
轟焦凍
腰ガックガクになってるくせになに言ってんだ
あなた
大丈夫だってば







そう言うと、弟は突然、足を止めた。





それから、私に顔を近づけて口を開く。







轟焦凍
このまま俺にシャワー室まで運ばれるか、また襲われるか、どっちか選べ
あなた
へ...?
轟焦凍
俺は別にまだやろうと思えばやれるぞ。まあ、あなた次第だな







そう言ってにっこりと微笑む姿は、知らない人から見たら天使だ。





けど、今の私から見たら悪魔にしか見えない。





この野郎。







あなた
...シャワー室まで、運んでください
轟焦凍
ん、わかった。いい子だな







弟はそう言って満足そうに笑うと、再びシャワー室に向かって歩き出す。





中に入ると、思っていたよりも広々としていた。





無駄に綺麗なのはなんだよ。







轟焦凍
一緒に浴びていいか?
あなた
え、なんで
轟焦凍
変わんねえだろ。俺ら今裸なんだから
あなた
...わかったよ







狭くなるのに。





でもまあ、時間短縮できるからいっか。





そう思い、私は頭からぬるま湯を被る。





それから、弟にシャワーを差し出した。







あなた
ほら、焦凍も浴びなよ
轟焦凍







そうすると、弟も同じように頭からぬるま湯を被った。





それからさっ、とお互いに身体を洗い、すぐにシャワー室を出る。





シャワー室を出ると、ご丁寧にバスタオルが2枚、用意されていた。





ありがたくそれを使い、頭と身体を拭く。







轟焦凍
あなた
あなた
なに?
轟焦凍
背中と髪、拭いてくれ
あなた
...仕方ないなぁ







私はそう言って苦笑し、弟のタオルを取って背中と髪を拭いてやる。





甘えんぼめ。







あなた
拭けたよ
轟焦凍
ん、ありがとな
あなた
ほら、制服着よ
轟焦凍
うん







そう言って、私たちは床に落ちている制服を着る。





制服とかは濡れてなくてよかった。







轟焦凍
...
あなた
どうかした?
轟焦凍
いや...。お前はよかったのか、って思って...
あなた
え?
轟焦凍
その、初めてが、俺で...







そう言うと、弟は不安そうな瞳で私を見つめる。





...普通なら、恋人同士でする行為だ。





姉弟ですることじゃない。





そんなことは、私だってわかってる。





でも、私は、







あなた
よかったよ
轟焦凍
あなた
逆に私は、焦凍以外の人とは有り得ないと思ってるから







初めてが弟で、よかったと思ってる。





そう言って微笑むと、弟も嬉しそうに笑ってくれた。

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