弟はそう言うと、私をお姫様抱っこしたままシャワー室に向かって歩き出す。
そう言うと、弟は突然、足を止めた。
それから、私に顔を近づけて口を開く。
そう言ってにっこりと微笑む姿は、知らない人から見たら天使だ。
けど、今の私から見たら悪魔にしか見えない。
この野郎。
弟はそう言って満足そうに笑うと、再びシャワー室に向かって歩き出す。
中に入ると、思っていたよりも広々としていた。
無駄に綺麗なのはなんだよ。
狭くなるのに。
でもまあ、時間短縮できるからいっか。
そう思い、私は頭からぬるま湯を被る。
それから、弟にシャワーを差し出した。
そうすると、弟も同じように頭からぬるま湯を被った。
それからさっ、とお互いに身体を洗い、すぐにシャワー室を出る。
シャワー室を出ると、ご丁寧にバスタオルが2枚、用意されていた。
ありがたくそれを使い、頭と身体を拭く。
私はそう言って苦笑し、弟のタオルを取って背中と髪を拭いてやる。
甘えんぼめ。
そう言って、私たちは床に落ちている制服を着る。
制服とかは濡れてなくてよかった。
そう言うと、弟は不安そうな瞳で私を見つめる。
...普通なら、恋人同士でする行為だ。
姉弟ですることじゃない。
そんなことは、私だってわかってる。
でも、私は、
初めてが弟で、よかったと思ってる。
そう言って微笑むと、弟も嬉しそうに笑ってくれた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。