第604話

No.599
6,532
2021/08/05 11:10
翌朝。





ヒーロービルボードチャート発表の日。





私は腰が痛くて目が覚めた。







あなた
はぁ...







なんか変な目覚め方したな。





朝からため息をつき、起きる気にもなれなくてスマホを確認して再度布団に転がる。







轟焦凍
...







隣には、すやすやと穏やかな寝息をたてて弟が眠っている。





ちなみに腰が痛くなった原因はこいつだ。





激しくしない、って約束したのにさ。







轟焦凍
ん...あなた、?







目の前の寝顔をじっ、と見つめていると、弟がゆっくりと目を開けて私を見つめた。







あなた
おはよ、しょーと
轟焦凍
おはようあなた...。腰、大丈夫か?
あなた
全然大丈夫じゃない







弟は私の言葉を聞くと、しゅん、としたように目を伏せる。







轟焦凍
悪ぃ...。お前があまりにも可愛すぎて、がっついちまった
あなた
か、かわ、っ...!?
轟焦凍







昨日の行為中の出来事が脳内で再生され、私は一気に赤くなる。





弟は行為中に、可愛いとか、好きだとか、よくそんな言葉を使ってくることが多い。





それに返さなかったら言うまでめっちゃ激しくしてくるし、返したら返したで嬉しそうに笑ってキスをしてくる。





だから、最近この言葉を聞く度に行為中のことを思い出してしまうことが多いんだ。







轟焦凍
顔真っ赤だな
あなた
み、見ないでいいから...
轟焦凍
んーん。あなたの可愛い顔もっと見てぇ







そう言うと、弟は私の顔を覗き込んでくる。





ダメだ、今弟を見たらダメだ、恥ずかしくて死んじゃう。





そう思って慌てて顔を隠そうとするが、弟はそれを見逃さない。





私の両手首を掴んでなにもできないようにすると、じいっ、とこちらを見つめてくる。





と思ったら、私と目が合った瞬間、ふっ、と笑った。







轟焦凍
可愛いな
あなた
ッ、ばかぁ...







ギブアップだ。





私は耐えきれなくなって、弟の胸板をぽかぽか叩く。





弟はそんな私をクスクス笑いながら見ていたかと思うと、抱きしめてくる。







轟焦凍
可愛い、俺だけのあなた
あなた
っ、ほんとに、ばか...
轟焦凍
そうだな。俺はあなたバカみてえだ







なによそれ。





思わず笑うと、弟も同じように笑う。





今日のビルボードチャート、どうなってるのか楽しみだ。





あとで共有スペースでみんなで見よっと。





そう思いながら、私は弟の髪を撫でた。

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