第149話

No.149
15,166
2020/10/11 07:46
スマホの目覚ましがなりかけた瞬間、手刀で止める。





よし、勝った。







あなた
起きて。朝だよ








隣で穏やかに寝ている、弟の頬を軽く叩く。





相変わらず面が良い。





なんかムカつくな。







轟焦凍
あなた、
あなた
あ、起きた?
轟焦凍
道に落ちてるもんを、拾って食うんじゃねぇ...
あなた
誰が食うかアホ。とっとと起きろや
轟焦凍
...んん







わけのわからん寝言言うな。





不服そうに顔をしかめ、寝返りをうつ。





と思ったら、腕を引っ張られて布団の中へ引きずりこまれた。





なにやってんだよ。







あなた
離せや
轟焦凍
もうちょっとだけ...
あなた
遅れるよ
轟焦凍
別にいい、
あなた
よくないわ








離れようと手足をばたつかせるが、怪力ゴリラには敵わない。





デジャブ。







あなた
置いてくよ
轟焦凍
やだ
あなた
じゃあ起きて
轟焦凍
...わかった








のそりと起き上がり、くあ、とあくびをする。





寝癖やば。







あなた
ほら、さっさと着替える
轟焦凍
んぶっ








昨日の夜持ってきた制服を、弟の顔面目掛けて投げつける。





見事にクリーンヒット。







あなた
朝ごはん食べに行くよ、早くして
轟焦凍
おぉ...








ぽや〜、っとしている弟の腕を引っ張り、1階の共同スペースまで向かう。





そこには既に何人かが集まっていて、それぞれで朝食をとっていた。







芦戸三奈
あ、おはよ〜、あなた!轟!
あなた
おはよう三奈ちゃん








パタパタと急ぎ足になりながら、朝食をとっているみんなにおはようと挨拶。





弟は眠そうにぽやっ、としているだけ。





もういっかいなんかぶつけてやろうかな。







轟焦凍
...








お茶を飲もうとコップにそそいでいると、なにかがポフッ、と肩に乗っかってきた。





ちらりと横目で見れば、おめでたい紅白頭。







あなた
退いて
轟焦凍
ねみぃ、
あなた
ん、これ飲んで目ぇ覚まして
轟焦凍
おう...








そこまでして気がついた。





周りの視線に。







芦戸三奈
なんか二人、カップルみたい!
あなた
ち、違う違うっ!今のは、その、なんていうか、習慣というか...
葉隠透
いつもあんなことしてるの!?








女子たちのキラキラとした瞳が、私に向けられる。





まずい。





非常にまずい。







轟焦凍
あなた、朝飯まだか?
あなた
い、今作るから待っててよバカ!
轟焦凍
いてぇ、








とにかく離れようとして、私は弟の頭に軽くゲンコツをくらわせた。

プリ小説オーディオドラマ