寮に帰って、就寝支度を済ませたあと。
弟に呼ばれて部屋に行くと、部屋に入った瞬間壁に押し付けられた。
驚いている私に構わず、弟はそのまま唇を合わせてキスをしてくる。
最初は啄むような軽いキスだったが、そのうちに舌が入ってきて、だんだん深いキスへと変わっていく。
息が続かなくなって押し返そうとするが、弟はそれを許してくれない。
逆に背中に腕を回されて引き寄せられ、後頭部を押さえられ、より深く口付けてくる。
と思ったら、弟が突然、私の寝間着の中へと手を入れてきた。
するりと腰を撫でられ、びくりと身体が跳ねる。
思わずぎゅう、と弟の服を掴んでやめてと意思表示をすると、弟はそれに気がついたのか、私から離れた。
私はそう言う弟を見ながら、口元を拭って息を整える。
弟はそう言ってるけど、目が獲物を見つけた野獣のようにぎらぎらと光っている。
そう言って、弟は熱っぽい瞳をこちらに向けてくる。
くっそ面がいいな。
...じゃなくて!
弟は私の服に手を入れると、つうっ、と身体のあちこちを指でなぞってくる。
誰のせいよ。
なかなか折れない私に、ようやく観念したようだ。
弟はそう言って私から離れると、しゅん、と項垂れる。
ありゃりゃ。
要望に応えられない代わりにそう言うと、弟がばっ、とこちらに顔を向けた。
と思ったら、自分の頬をむぎゅぎゅとつねり始める。
まあそうだけどさ。
そんなに驚くかな。
弟はそう言って嬉しそうに笑う。
でもまあ、弟がこうやって嬉しそうな表情を見せてくれるなら、私はそれで満足かな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!