昼食を食べたあとは、実戦演習だ。
主な内容は、ペアで行動して他のペアとの戦闘をする、って感じらしい。
私のペアは、弟と爆豪くん。
夏休み前の戦闘訓練と同じだ。
弟の言葉に頷く私と、そっぽを向く爆豪くん。
爆豪くん、前までは弟がこんなこと言う度に、クソだのカスだの言ってたのにね。
ちょっとは丸くなったのかな。
前言撤回。
やっぱり変わってないや。
戦闘を行う会場に移動し終えると、仮免講習の担当のひとりであるプロヒーロー、ギャングオルカが現れる。
てか、ダボハゼ共、って...。
まあ試験に落ちたのは確かだけれども。
なんかパッとしないなぁ。
ひぇぇええ...。
身を縮こませながら、私たちはビシッ、と姿勢を整える。
姿勢を正して並ぶ私たちの前を、ギャングオルカがそう言って歩き回る。
相変わらず圧がすごい...。
プロってこんな感じなのかな。
でもオールマイトや相澤先生の場合は、そこまで圧は感じないんだよね。
...怒った時の場合の話は別だけど。
その言葉に返事をし、ギャングオルカの指示で私たちはペアに別れる。
各自でエリアに移動し始め、実戦演習開始の合図まで待機。
さてと、私たちも移動しなくちゃ。
とは言ったものの、どのエリアに移動しようか。
と、爆豪くんが私を見て口を開いた。
狩る、って...。
猛獣じゃないんだから。
漁夫の利...。
うーん、ヒーローとしてやってもいいことなのか、悪いことなのか。
歩き出した二人の背中を、私は慌てて追いかける。
うーん、こんなんで大丈夫なのかな、この実戦演習...。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。