キスが終わったかと思ったら、ガブガブと鎖骨を甘噛みしてくる。
てかこいつ、すぐ噛むな。
思わず右手で弟の口をふさぐ。
痕つけられたらたまったもんじゃない。
見つかったらみんなになんて言われるか。
突然聞こえた声に、私たちはぴしりとかたまる。
ゆっくり顔をドアの方に向けると、そこにいたのは相澤先生。
ヤバい...。
慌てて起き上がり、口を開く。
どうしよう、絶対変な誤解されちゃったよ。
クラスメイトならまだしも、先生に見られるなんて思わなかった。
呑気に尋ねる弟の頭を引っぱたくと、弟は頭を押さえて呻く。
そんな私たちを黙って見ていた相澤先生は、少し気まずそうに口を開いた。
むしろ気が付かなかった私たちが悪いんだし。
さすが先生、わかっていらっしゃる...。
バレバレだったみたいね。
え、やっぱり個性事故だったの?
私は思わず、小さくなった自分の体を見つめる。
そう言われて、思い出した。
昨日の仮免講習の帰りに、男の人とぶつかったことを。
相澤先生はそう言うと、目付きを鋭くさせる。
え...?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。