第395話

No.393
8,090
2021/03/27 10:19
放課後。





寮に帰った私は、1階の共有スペースのソファで本を読んでくつろいでいた。







麗日お茶子
あなたちゃんて、難しそうな本ばっか読むんやね







お茶子ちゃんが隣に腰を下ろし、私の手元にある本を覗き込む。







あなた
そう?
麗日お茶子
うん。だって、暇さえあればずっと本読んでる気がするよ。前に内容少し見してもらったけど、なに書いてあるかわからんかった







まあ、暇さえあれば本読んでるのは当たりかな。





読書はいろんな知識が身につくし、結構自分のためになるんだよね。





いろんなものを見る視界も広がってくるんだ。







あなた
でも面白いよ、読んでみる?
麗日お茶子
うーん、申し訳ないけどやめとく。たぶん私じゃ理解できないだろうからさ
あなた
そっか
麗日お茶子
でも気が向いたら読んでみる!
あなた
うん。読みたいのあったら言ってね
麗日お茶子
うん!







こういう素直なとこはほんとに可愛い。





しかも頑張り屋さんだし。







轟焦凍
あなた







ソファでくつろいでいる私に声をかけてきたのは、弟。





その目は、ついてこい、ってことかな。







轟焦凍
悪ぃ麗日、あなたもらってくな
麗日お茶子
どうぞどうぞ。じゃあ、また夕食でね
あなた
うん







弟は私の腕を掴むと、ずんずんと歩いていく。





無言やめてよ怖いから。







あなた
ねぇ、結局なんなの
轟焦凍
いいから







そう言うだけで結局なにも返答はなく、弟の部屋へと連れていかれる。





まじでなんで連れてきたんだ。





弟は自室のドアを閉めると、私の方に体を向けた。







轟焦凍
...
あなた
...







お互いになにも言わず、沈黙する。





連れてきたのはそっちなんだから、あんたがなにか喋りなさいよ。





そう思っていると、







あなた
...なにやってんの?







弟が突然、私に向かって両腕を広げてきた。





首を傾げて疑問をぶつけると、弟は少し口を『へ』の形にしながら言う。







轟焦凍
いっつも俺からあなたに抱きついてるから、今日はあなたから俺に抱きついてきてほしい
あなた
えぇ...なにそれ







それはあんたが好んでやってることでしょーが。





私の反応を見て、弟はしゅん、と項垂れる。







轟焦凍
ダメか...?







そう言ってから顔を上げ、子犬のような瞳で私を見つめてきた。





私は言葉を呑み込み、軽くため息をつく。







あなた
ん、これでいい?







そう言って私は、弟に抱きつく。





弟は素直にやるとは思っていなかったのか、驚いたように瞬きを繰り返す。





が、すぐにぎゅうっ、と抱きしめ返してきた。

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