第335話

No.333
9,500
2021/01/12 09:17
轟焦凍
さっきはみんなの前だったし、できなかったからな







弟は袋からポッキーを1本取り出し、私の前に差し出す。





いや、ほんとにやるのかよ。







轟焦凍
ほら、加えろ
あなた
...ほんとにやるの?
轟焦凍
当たり前だろ?さっきはお預けくらったんだからな
あなた
お預けってなによ








なんで二度目のポッキーゲームをやらなきゃいかんのだ。





そう内心毒づきながらも、私はポッキーの端を加える。





私が加えたのを確認したあと、弟もポッキーの反対側の端を加えた。







轟焦凍
離すなよ







弟はそう言って、私の両肩を掴んで逃げられないようにしてくる。





まあ、さっき我慢してくれたからいっか。





今日は甘えてもいい、って言ったものね。





サクサクと音をたてながら、お互いにポッキーを食べ進める。





てか、食べるの早くない?





さっきと勢い全然違うんだけど。







あなた
んむ、っ







ふに、と柔らかい感触が唇に伝わり、思わず声を上げる。





すぐ離れてくれると思ったら、弟はそのまま唇を割って舌を入れてきた。





おいおい、勘弁してくれよ。







轟焦凍
ん、っ
あなた
んぅ、っ







絡めてくる舌は、ポッキーのせいで甘い。





頭がフワフワしてきて、なにも考えられなくなってくる。





しばらくされるがままになっていたが、やがて弟は満足したのか、唇を離した。







轟焦凍
甘ぇな...。







言いながら、弟はぺろりと自分の唇を舐める。





私も自分で口元を拭い、ふいっ、と弟から顔を背けた。







轟焦凍
もっかいやるか?
あなた
!...や、やらないよ!







にやりと意地悪そうな笑みを浮かべる弟に、私は全力で否定する。





出たよドS。





この笑い方をする時の弟は、ドSモードに突入した証拠だ。







轟焦凍
じゃ、今日は一緒に寝よう
あなた
いや、自分の部屋戻る
轟焦凍
なんでだ







ひとりで寝ろや。





弟はしゅん、としたように俯くと、小声で言った。







轟焦凍
今日甘えてもいいって言ったじゃねえか
あなた
甘えるのと一緒に寝るのは話が別です







そう言うと、弟はますます項垂れる。







轟焦凍
そう、だよな...。悪ぃ
あなた
...







そんなに項垂れることか...?





弟の反応に私は少し悩む。





全く、ほんとにこいつは。





少し悩んだ結果、私は立ち上がった。







轟焦凍
もう部屋戻るのか?







ドアノブに手をかける私を見て、弟は悲しそうな声で言う。





私はくるりと振り向き、弟の額を指で押した。







あなた
枕と明日の準備!取ってくるの!
轟焦凍








ばっ、と勢いよく顔を上げた弟は、嬉しそうに目を輝かせた。





あーもう、結局こいつの思い通りになるじゃんか。





ダメだとか言っておきながらこうやって許可してる私も、結局どうかしてるよなぁ。

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